舞台芸能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/06 06:00 UTC 版)
素襖が物語の鍵となっている舞台芸能に、狂言の『素袍落』(すおうおとし)と歌舞伎舞踊の『襖落那須語』(すおうおとし なすものがたり、通称「素襖落」)がある。 伊勢参りをすることにした主人が、以前から話を持ちかけていた伯父を誘うために太郎冠者を遣わす。しかしいかにも急なことで伯父は無理だという。そして気が引けたのか、自分が行けないのなら太郎冠者が代わりにお供をすることになるのだろうと察した伯父は、太郎冠者に門出の酒をふるまい、祝儀に素袍を与える。思いがけないご祝儀に感動した太郎冠者は、主人への不満をぶちまけながら伯父のことを持ち上げて、やがてすっかり上機嫌になって帰途につく。しかし自分が主人のお供で伊勢参りなどありえるはずもなく、主人にはせっかく餞別に貰った素袍の説明がつかない。そこで素袍惜しさに太郎冠者はこれを主人に見つからないよう隠すのだが、まだ一杯機嫌の太郎冠者は帰路にもはしゃぎすぎてこれを落としてしまった挙句、それを主人に拾われてしまう……。 この狂言『素袍落』を下敷きに、明治になって福地桜痴が作詞し、三代目杵屋正次郎が長唄、鶴澤安太郎が義太夫を作曲して歌舞伎舞踊化したのが『襖落那須語』、通称「素襖落」である。桜痴は原作の伯父を姫御寮に替え、他にも登場人物を増やして振りをつけ舞台を賑やかにしつつ、太郎冠者の酔態を能の『那須之語』に巧みに絡ませることによって引き立て、全体として明るい松羽目物の舞踊劇に仕立て上げた。明治25年(1892年)東京歌舞伎座初演。太郎冠者をつとめた九代目市川團十郎が好んだ演目で、後にかれはこれを「新歌舞伎十八番」の一つに数えている。
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