腸内環境の維持
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 07:55 UTC 版)
乳酸菌等の腸内細菌は、腸内で担体として増加することにより菌体が腸管老廃物を吸着して排出させている可能性がある。健康なヒトの腸内にはたくさんの種類の微生物が生息しており、ほぼ全ての人の腸内からは、ラクトバシラス属やビフィドバクテリウム属の乳酸菌が検出される。ヒトの糞便中1gあたりの菌数は、ビフィズス菌が100億個、ビフィズス菌以外の乳酸菌が10-100万個であるといわれている。これらの乳酸菌は、俗に言う「腸内の善玉菌」の一種として捉えられる場合が多く、腸内常在細菌叢(腸内フローラ)において、これらの細菌の割合を増やすことが健康増進の役に立つという仮説が立てられている。ただしその有効性については、意義があるとする実験結果と関連が認められないとする結果がそれぞれ複数得られており、結論が出ていないのが現状である。前述の「#善玉菌と悪玉菌」も参照。 蜂蜜の中には芽胞を形成し活動を休止したボツリヌス菌が含まれている場合がある。通常は摂取してもそのまま体外に排出されるが、乳児が加熱していない蜂蜜を摂取すると体内で発芽して毒素を出し、中毒症状(乳児ボツリヌス症)を引き起こし、場合により死亡することがあるため、注意を要する。十分に腸内細菌の発達したヒトでは生の蜂蜜を摂食しても、腸内細菌が芽胞からのボツリヌス菌の増殖を妨げる。 「蜂蜜#乳児ボツリヌス症」も参照 腸内細菌であるいくつかのプロバイオティクス株が過敏性腸症候群や慢性便秘の症状の減少に効果があるとされている。症状の減少をもたらす可能性が最も高い腸内細菌は、以下のようなものが掲げられている。 Streptococcus faecium(フィルミクテス門) Lactobacillus plantarum(フィルミクテス門) Lactobacillus rhamnosus(フィルミクテス門) Propionibacterium freudenreichii(放線菌門) Bifidobacterium breve(放線菌門) ラクトバチルス・ロイテリ菌(フィルミクテス門) Lactobacillus salivarius(フィルミクテス門) Bifidobacterium infantis(放線菌門) Streptococcus thermophilus(フィルミクテス門)
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