腸内細菌と腸内細菌科
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/04 08:11 UTC 版)
腸内細菌科に属する多くの菌種は、その生育環境や病原性の点で、ヒトや動物の腸管と深い関わりを持つ。多くの菌種は、動物の腸管内に生息する腸内細菌として宿主に寄生する。ただし、ヒトや動物の腸内細菌の大部分は、腸内細菌科以外の偏性嫌気性細菌によって構成されており、腸内細菌科に属する菌数が占める割合は1%にも満たない。ヒトの糞便には1グラムあたり、1010-1011個の細菌が存在するが、このうち106-108が腸内細菌科の細菌である。これ以外のほとんどはバクテロイデス Bacteroides属やユーバクテリウム Eubacterium属などの偏性嫌気性菌で占められている。 それにも関わらず「腸内細菌」科(enterobacteriaceae: entero- 消化管の、bacteria 細菌、-ceae 科を表す接尾語)と名付けられた理由は、かつての培養技術では酸素が存在すると死んでしまう偏性嫌気性菌が培養不能であったため、これらの存在が知られておらず、旧来の培養条件でも容易に生育する腸内細菌科の細菌だけが発育したことから、腸内細菌の代表的菌種であると思われていたことに由来する。 なお、生後すぐの乳幼児の腸内は例外的に腸内細菌科が優勢である。大腸菌などが出生直後に腸内に進出し、最初の腸内細菌叢で最優位に立つ。数日経つと嫌気性菌が優勢になり、腸内細菌科は徐々に減衰する。
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