脳の役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 04:47 UTC 版)
脳幹は、体の各部から出される空腹や満腹の信号を検出する神経回路が内部にあるため、食物の摂取を制限することができる。脳幹が食物の摂取に関与していることは、ラットを使った実験によって研究されている。脳幹の運動ニューロンが大脳半球の神経回路から切り離された(脱髄された)ネズミは、餌に近づいて食事を行うことができない。その代わり、脱髄されたネズミは液体の形で食べものを得なければならない。この実験は、脳幹が食事に関与していることを示している。 視床下部には、メラニン濃縮ホルモン(英語版)(MCH)とオレキシンという、空腹を引き起こす二つのペプチドが存在する。ネズミでは、MCHが摂食を促す作用があり、MCHの過剰分泌を引き起こす突然変異が起こると、過食と肥満がそれに応じて引き起こされた。オレキシンは、食事と睡眠の関係を制御する上で大きな役割を果たしている。視床下部には、他にも神経ペプチドY(NPY)やアグーチ関連タンパク質(AGRP)など、摂食を誘発するペプチドが存在する。 視床下部における満腹感は、レプチンによって刺激される。レプチンは、弓状核の受容体を標的とし、MCHやオレキシンの分泌を抑制する。また、弓状核には、空腹感を抑圧する2つのペプチドが、さらに存在する。一つ目は、コカインおよびアンフェタミン調節転写物(英語版)(CART)、もう一つは、α-MSH(α-メラノサイト刺激ホルモン)である
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