脳の形態の観察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:01 UTC 版)
神経細胞のマクロな状態と精神機能を対比する方法。脳の損傷と精神機能の損傷から脳の特定の部位の機能を直接推論する方法は、精神機能の「中枢」を推論するのに重要な手法となる。時間解像度はないに等しい。計測法には開頭のほかコンピュータ断層撮影(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)が用いられる。 脳病理学的手法 非侵襲的に脳の形が解析できなかった1980年代以前では、死後、脳解剖によって生前の情報と照らし合わせることで脳機能局在の推定が行われてきた。この問題点は、あくまでも機能局在を脳解剖所見と結びつけて研究する後方的脳機能研究であるという点である。 神経心理学的手法(損傷研究) 脳梗塞などで脳を限局的に損傷した患者の精神機能を調べることで、損傷部位における情報処理を推論する方法。基本的に患者の治療に付随するものであり実験的な操作はできないが、神経細胞の状態が大きく変化しているため重要な知見をもたらす。また神経の、局所的な冷却や、局所的に作用する毒物の注射によって神経を実験的に機能停止させる手法もある。これの神経心理学的手法は、頭部CT、脳MRIの開発に伴って直径1mm程度の病変が数多く見つかるようになり、精神機能障害が数多い病変のどれに起因するか簡単には推定できなくなっている。 脳画像MRI(健常脳研究) 従来の神経心理学的手法と異なる点は、脳の形態的MRIを詳細に解析することで、脳機能局在を推定する方法である。非侵襲的に脳の形が解析できるようになり、同一人物の脳の形を数年以上にわたって前方視的に研究することが可能になった。このため、個人の年齢の推移の伴う変化や日常生活に伴う脳変化なども研究の対象になっている。
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