脊椎と肋骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/07 14:28 UTC 版)
ムカシトカゲの脊椎骨は砂時計形で、椎体の前後が両方とも凹んだ両凹型である。これは魚類と一部の両生類で一般的だが、ムカシトカゲ以外の現生有羊膜類ではまったく見られない。また、トカゲ類との共通点として、尾椎には自切機能がある。 腹肋(腹部にある肋骨様の骨)を持っており、双弓類の祖先的形質だと推測されている。現在これが見られるのはトカゲの一部(ただしほとんどが軟骨)、ワニ、そしてムカシトカゲのみである。腹肋は脊椎や肋骨には結合しない。 真の肋骨も非常に興味深く、それぞれの肋骨に鈎状突起(鳥類に見られる、肋骨の後側から飛び出た鈎状の突起)を持つ。ワニ目にも鈎状突起の軟骨化した名残があるが、発達した腹肋と鈎状突起の両方を持つ唯一の四足動物がムカシトカゲである。 初期の四足動物では、腹肋と鈎状突起は皮骨や鎖骨と共に、一種の外骨格を形成していたと考えられ、腹部の保護や腸など内臓の保持に役立っていた。これらの解剖学的特徴は、脊椎動物が陸上に進出する以前に、移動様式に関係した構造から進化したのというのがもっとも可能性が高い。また、腹肋は原始的な絶滅両生類や爬虫類の呼吸過程に関係していたのかもしれない。腰帯と肩帯は(他の器官と同様に)内部構造や相対的な大きさでトカゲ類とはだいぶ異なっており、ムカシトカゲがトカゲとは別の生物であることを明確に示している。
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