脅威論への異論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 13:48 UTC 版)
日本共産党は、米中・日中間の経済的相互依存関係の強まりや、中国の対外政策に照らせば、中国を「脅威」とする考えには根拠が無いと主張している。また、中国脅威論とは中国の軍拡で公共の場所での軍事的権益を脅かされる可能性が出てきたアメリカが声高に中国の脅威を主張し、日本もそれになぞっているだけであると主張している。 石破茂は、「中国の軍事費の伸びだけで『脅威』とは言えない。軍人の給与上昇にかなりの部分が使われている事実がある」と2009年12月8日のシンポジウムで述べた。 また、2009年まで内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当」を務めた柳澤協二は「冷戦時代のソ連とは体制的な対立関係があったが、中国とは(経済発展という)同じ方向を向いて競争しており、相手を滅ぼす動機がない。中国が日本を滅ぼしたら中国の経済は成り立たないし、米中関係でも同じことが言える」と、2010年4月20日の国会内の講演で述べている。 ただ、この柳沢や日本共産党などが主張する「グローバル化で経済関係が密接だから、戦争を仕掛けると自分が損をするから戦争は起きえない」という「資本主義の平和」論には異論もある。実際第一次世界大戦に於いて英独両国は緊密な経済関係を持ちながら開戦したし、中野剛志は「国家は必ずしも合理的に行動しないことや、合理的に行動したとしても戦争が起きる可能性がある」と著書で述べている。また、この平和論はグローバル化への警戒感が少ない日本で特に根強く信仰されている考え方だという。 中国の欧州連合代表部は声明で、「我々の防衛と軍事的近代化の追求は正当で、合理的で、開放的で透明性があるものだ」と主張した。また、北約は中国の発展を「理性的な方法で」とらえ、「中国の正当な利益と権利を、集団政治を操作し、対立を生み出し、地政学的競争をあおるための口実にするのをやめる」べきだと付け加えた。
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