職場のスプロールと空間的ミスマッチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 08:10 UTC 版)
「スプロール現象」の記事における「職場のスプロールと空間的ミスマッチ」の解説
職場のスプロール(Job sprawl)は、スプロールと自動車依存(英語版)が発生しているコミュニティで見られる土地利用状態のひとつであり、低密度で地理的に拡散した雇用パターンと定義される。このような現象の起こる大都市圏では雇用の大部分が主要都市の中心業務地区(CBD)の外部に位置し、ますます郊外の周辺部に移動しつつある。これは都市における負の投資の結果であることが多い。アメリカ郊外部の多くでは、自動車依存の通勤パターンがほとんどであるため、地理的に自由な職場立地が可能になっている。また、多くの企業がより地価が安く、拡張の余地がある低密度地域に拠点を置きたいと考えている。空間的ミスマッチ(英語版)は職場のスプロールおよび環境正義(英語版)と関連する概念であり、職場のスプロール化と、逆方向通勤(英語版)を助ける公共交通機関の不足の結果として、都市部の貧困層―多くはマイノリティである―の求職が困難になる状況を指す。 職場のスプロールは、様々な方法で文書化され、測定されている。アメリカの大都市圏では、職場のスプロールの増加傾向が見られる。ブルッキングス研究所はこの主題について複数の論説を上梓している。2005年にマイケル・ストール(英語版)はCBDから半径5-マイル (8.0 km)以上離れた立地を職場のスプロールと定義し、2000年のアメリカ合衆国国勢調査をもとに職場のスプロールの進行状況を研究した 。他にも、CBDを中心とした同心円を用いた異なる研究として、エドワード・グレイザー(英語版)による2001年の論文とエリザベス・ニーボーン(英語版)による2009年の論文がある。これらの研究では郊外に広がる都市周辺部では雇用が増え、CBDに近い地域では雇用が減っていることが明らかになった。両人はCBDから半径35-マイル (56 km)以内について、3マイル (4.8 km)以内、3~10マイル (16 km)、10~35マイル (56 km)の同心円を用いて職場の郊外化を調査した。ニーボーンによる2006年の全国調査ではそれぞれの範囲に21.3パーセント、33.6パーセント、45.1パーセントの職場が分布することが明らかになった。1998年の職場分布はそれぞれ23.3パーセント、34.2パーセント、42.5パーセントであった。この調査によると、CBDにおける職場立地の割合は縮小し、職場の増加は郊外や都市圏外の同心円中に集中する。
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