細谷源二とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 人名 > 作家 > 歌人 > 歌人 > 細谷源二の意味・解説 

細谷源二

細谷源二の俳句

いなびかり家の粗末を人に見られ
どんぐりのみな心ありはなればなれ
なんと云ふさだめぞ山も木も野分
みなそこに岩魚の憂の日もあるや
らんぼうに斧振る息子冬の天
今年また山河凍るを誰も防がず
吾子生れぬ光かがやく泉たち
地の涯に倖せありと来しが雪
妻も小さく歌をうたへりゆき解の日
春木一本きり残せしはもたるゝため
月一つ聞く人多勢笛なけり
朝みぞれ夕みぞれとてさやぐ木よ
炎せや炎せ才覚鈍き吾が焚火
父母昇天つららを垂らし早寝の戸
真赤なる野火の彼方にはす心
耕すやぽろんぽろんと時計鳴る
芋団子汗の童べの膝に肩に
赤とんぼみな母探すごとくゆく
鉄工葬おわり真赤な鉄うてリ
 

細谷源二

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/23 23:35 UTC 版)

細谷 源二(ほそや げんじ、1906年明治39年)9月2日 - 1970年昭和45年)10月12日[注 1])は、日本俳人東京府東京市小石川区(現・東京都文京区)生まれ。本名は源太郎[1][2]。旧号は碧葉[1][2]

経歴

工手学校(現・工学院大学)中退後[1][2]、同じ俳人の松原地蔵尊の『句と評論』に加わった。1939年(昭和14年)、渡辺白泉、藤田初巳らと「句と評論」(後に「広場」に改題)を創刊した[1]。後に内藤辰雄らと共に工場生活を取材し[2]、口語表現にも挑戦した[1]1940年(昭和15年)、新興俳句弾圧により検挙され[1][2]、約2年半収監される[2][3][4][5][6][7][8]

1945年(昭和20年)、戦後開拓として北海道豊頃村(現・豊頃町)の開拓地に家族とともに入植したが失敗に終わった[2]

細谷はその辛酸を句集『砂金帯』に執筆した[1][2]1947年(昭和22年)、砂川東洋高圧に施盤工として入社した。定年後札幌に移住し、1948年(昭和23年)、俳句人連盟の地方機関誌「北方俳句人」を主宰したが、連盟の分裂により休刊した。翌1949年(昭和24年)、「東圧俳句」を合併して「氷原帯」を創刊し主宰者となり[1][2]、後に北海タイムス北海道新聞俳句選者にもなった。

代表句

  • 鉄工葬をはり真っ赤な鉄打てり 
  • 英霊をかざりぺたんと座る寡婦
  • 地の涯に倖せありと来しが雪
  • 明日伐る木ものをいはざるみな冬木

作品

  • 『鉄』
  • 『塵中』
  • 『砂金帯』
  • 『泥んこ一代』(自伝、「俳句事件」所収) 春秋社・1967年刊 [9]

受賞歴

  • 砂川市文化功労賞(1950年
  • 北海道文化奨励賞(1960年

脚注

注釈

  1. ^ 20世紀日本人名事典では12日の死去となっているが、デジタル版 日本人名大辞典+Plusでは10日の死去となっている。

出典

  1. ^ a b c d e f g h 細谷源二”. デジタル版 日本人名大辞典+Plus(講談社). 2022年4月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 細谷 源二”. 20世紀日本人名事典(日外アソシエーツ). 2022年4月4日閲覧。
  3. ^ 岩本茂之 (2022年5月22日). “治安維持法違反で投獄の俳人 細谷の獄中記を日仏語で復刊 仏出身の俳人「ロシアの弾圧と一緒」”. 北海道新聞. 2022年12月13日閲覧。
  4. ^ しんぶん赤旗 (2022年6月17日). “細谷源二の獄中記『俳句事件』を今こそ、 マブソン青眼12句連作「Слава Україні (スラバウクライニ)」”. 2022年12月13日閲覧。
  5. ^ 中日新聞 (2022年9月1日). “俳句弾圧事件の被害者・細谷源二の獄中回想録を復刻 俳人マブソン青眼さん、仏訳とともに紹介”. 2022年12月13日閲覧。
  6. ^ RCJ(フランス・ユダヤ・コミュニティー・ラジオ)の文学番組「細谷源二『俳句事件』仏訳スペシャル」 (2021/5/27放送)(フランス語).
  7. ^ 安味伸一 (2023年4月26日). “80年前の証言、今こそ 俳人・細谷源二獄中記、日仏2カ国語で復刊 マブソン青眼さん講演”. 毎日新聞 (北海道版). 2023年4月26日閲覧。
  8. ^ 「細谷源二著『俳句事件』 ー 『俳句弾圧不忘の碑』からフランス語訳の出版まで」マブソン青眼氏講演会のビデオ - YouTube北海道立文学館、2023年3月24日公開)
  9. ^ その一章となる「俳句事件」原文閲覧 (「俳句弾圧不忘の碑」公式ブログにて)

参考文献

  • 『現代俳句大辞典』三省堂
  • 自伝・細谷源二著『泥んこ一代』春秋社、1967年刊
  • 細谷源二著『俳句事件』、マブソン青眼訳(フランス語訳、日本語原文覆刻、解説、注釈)Genji Hosoya, Criminel pour quelques haïkus... - Mémoires de prison d’un haïjin pacifiste (1941-1945), traduction, notes, présentation et transcription du texte original en japonais, édition bilingue français/japonais 二カ国語版 (Pippa Éditions, Paris, 2022) (ISBN 978-2-37679-062-4)
  • 『特別展 細谷源二と齋藤玄 北方詩としての俳句 図録』北海道立文学館刊、2023年

外部リンク




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「細谷源二」の関連用語

細谷源二のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



細谷源二のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
現代俳句協会現代俳句協会
Copyright(C) 現代俳句協会
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの細谷源二 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS