細胞接着装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 17:01 UTC 版)
細胞は、接着部域に、接着装置を作る。 上皮組織では、上皮細胞の「細胞-細胞接着」で、接着結合(アドヘレンス・ジャンクション)、タイトジャンクション、接着斑(デスモソーム)などの接着装置を形成する。「細胞-基質接着」で、細胞外マトリックスである基底膜に接着し、半接着斑(ヘミデスモソーム)と呼ぶ接着装置を形成する。 結合組織などの間質細胞は、「細胞-基質接着」で、細胞周辺の細胞外マトリックス(コラーゲン繊維など)に接着する。接着装置は、接着結合である。 血液細胞のように、ふだんは浮遊性で細胞接着しない細胞でも、細胞分化や機能発現時には、血管内皮細胞に接着し組織へ侵入する。血管内皮細胞に接着する接着装置は、接触結合である。 なお、培養皿の上で線維芽細胞などを培養すると、細胞はフィブロネクチンやビトロネクチンなどを介して皿上に接着し伸展する。この現象は、「細胞-基質接着」(cell-substratum adhesion)と呼ばれる細胞-細胞外マトリックス接着の一種である。細胞が基質に接着する部分に接着装置の焦点接着(focal adhesion)が形成される。 例外はあるが、接着装置の基本構成は次の通りである。 細胞外タンパク質:細胞膜貫通の「狭義の細胞接着分子」と細胞接着分子である細胞外マトリックスタンパク質(フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチンなど)。 細胞膜タンパク質:上記と同一の細胞膜貫通の「狭義の細胞接着分子」と、カベオリンやGタンパク質共役型受容体(G protein coupled receptor: GPCR)など細胞接着に関与する細胞膜タンパク質(含・細胞膜付着タンパク質)。 細胞膜裏打ちタンパク質:接着部域の細胞質側にあり、接着装置を裏側から物理的に補強し、細胞内の細胞骨格に構造をつなげる。テーリン(talin)、キンドリン(kindlin)、ビンキュリン、αアクチニン、パキシリンなど。 細胞内シグナル伝達タンパク質:細胞が接着した情報を細胞内に伝える(アウトサイド・イン)。さらに、細胞内の状況を接着装置を通して細胞外へ伝える(インサイド・アウト)。タンパク質リン酸化を伴う複雑な細胞内シグナル伝達を展開するタンパク質リン酸化酵素群とアダプタータンパク質群が関与する。 細胞骨格:アクチンフィラメント、中間径フィラメント、微小管。
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