米国と日本での豊富なアレルギー診療の経験からの主張と指摘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/10 14:36 UTC 版)
「長屋宏」の記事における「米国と日本での豊富なアレルギー診療の経験からの主張と指摘」の解説
標準化ダニ・アレルゲンを使用した免疫療法によって多くの喘息患者は無症状になるが、発症後早期に介入する程FEV1が改善する可能性が高い。早期介入の機会を逸しても発症後20年以内であれば症例IやⅵのようにFEV1改善が起こるかもしれない。しかし、そのためには累積アレルゲン注射量や1回の最高注射量(維持量)が高いほどFEV1が改善する可能性も高いと考えられるうえに治療に5~10年以上要すると思われる。 日本アレルギー学会が推奨する最新の「アレルギー学講座」によれば、米国制標準化コナヒョウヒダニの維持量として50AUを4~8週間隔で3~5年以上続けることを勧めている。しかし、米国標準化コナヒョウヒダニエキス10,000AU/mlの主要アレルゲンDerf1の含量は56μg/mlであるから、Derf1の有効(維持)注射量である10μgは1,786AUに相当する。したがって50AUは有効注射量の1/35でしかない。一般的にアレルゲンの有効維持量は比較的に狭い範囲内にあって主要アレルゲン3~20μgに相当する。標準化コナヒョウヒダニ50AUに含まれるDerf1は0.28μgであるから有効量の下限の1/10以下に相当する。日本における成功例の1回の最高注射量も420~1,080AUであったから50AUの8~20倍に相当する。日本アレルギー学会は「アレルギー学講座」が勧めるコナヒョウヒダニ50AUが維持量として適切であるか否か検証する必要があると指摘する。 免疫療法の最初の適応疾患である花粉症を含めたアレルギー性鼻炎、結膜炎に対して適切にデザインされた二重盲検法の88%は免疫療法の有効性を証明している。日本のスギ花粉症に対する免疫療法の有効性はよくて40%という過去の報告もあるが、このような低い成功率の最大の原因は、スギ花粉症患者の70~90%は、スギ花粉と同時に飛散するハンノキやヒノキも含めた種々の木やイネ科の草の花粉にも感作されているが、これらの花粉に対する治療エキスは全く市販されていないことである。標準化スギ花粉とともに他の必要な花粉アレルゲンを使用した治療を行えば、日本においても免疫療法の有効性が欧米のレベルに達することを望める。
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