節口類との関係性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 14:41 UTC 版)
「カブトガニ類#分類」、「ウミサソリ#分類」、「カスマタスピス類#分類」、および「書鰓と書肺#起源と進化」も参照 カブトガニ類 ウミサソリ類 カブトガニ類、および古生代から知られる化石真鋏角類であるウミサソリ類(ウミサソリ目 Eurypterida)とカスマタスピス類(Chasmataspidida)は、古典的に節口類(節口綱 Merostomata)というクモガタ類と対になる分類群にまとめられた。しかし20世紀後期以降のウミサソリ類は、主にクモガタ類に似た呼吸器と精包の受け渡しに適した生殖器を基に、クモガタ類と単系統群(Sclerophorata、カスマタスピス類まで含むと Dekatriata)になる説の方が主流となっている。この場合、ウミサソリ類は一般に単系統群のクモガタ類の姉妹群とされるが、もしクモガタ類は非単系統群であれば、ウミサソリ類は蛛肺類の姉妹群とされる。ウミサソリをクモガタ類のサソリに最も近縁とする説もあったが、誤解釈や不確かな相同性を踏まえたため広く認められず、両者の大まかな類似も収斂進化の結果、もしくは Dekatriata 類の祖先形質とされる。 上述のウミサソリの主流な系統位置を踏まえて、カブトガニ類は一般に他の真鋏角類より早期に分岐したとされる。これは多くの形態学と一部の分子系統解析に支持されるが、それを覆し、クモガタ類がカブトガニ類に対して非単系統な分系統解析結果も出している。この場合、カブトガニ類は主にクツコムシに近縁とされるが、蛛肺類に近縁とされる結果もある。 一方、節口類の単系統性を支持する解析結果もわずかにある。この場合、節口類はクモガタ類より早期に分岐、もしくは上述のクモガタ類のカブトガニ類に対する非単系統性を踏まえて、クモガタ類が節口類全体に対して多系統群とされる。 (水棲、書鰓) カブトガニ類 節口類 Dekatriata †カスマタスピス類 Sclerophorata †ウミサソリ類 クモガタ類(上陸、書鰓→書肺) (書肺退化) 非蛛肺類 (書肺退化) 非蛛肺類 蛛肺類 (水棲、書鰓) (上陸、書鰓/書肺退化) 様々なクモガタ類(非蛛肺類) (上陸、書鰓/書肺退化) 様々なクモガタ類(非蛛肺類) カブトガニ類 節口類 †カスマタスピス類 †ウミサソリ類 (上陸、書鰓→書肺) 様々なクモガタ類(蛛肺類) クモガタ類に対して祖先形質とされる性質の多いカブトガニ類やウミサソリ類は水棲動物であるため、鋏角類の共通祖先は水棲で、クモガタ類の陸棲的性質はそこから進化したものと考えられる。しかしその経由(上陸の回数、書肺の起源)は、前述のクモガタ類の系統仮説によって解釈が変わる。もしクモガタ類は単系統群であれば、その陸棲的性質は同じ共通祖先で1回のみ起源し、書肺のないクモガタ類は、クモガタ類の内部系統で書肺を退化したと考えられる。代わりに、もしクモガタ類はカブトガニ類やウミサソリ類に対して非単系統であれば、クモガタ類は多系統群で複数回の上陸がなされ、書肺のないクモガタ類は、蛛肺類・ウミサソリ類・カブトガニ類とは別系統の水棲祖先に起源する可能性が高い。 クモガタ類のカブトガニ類に対する非単系統を踏まえて、陸棲性が単一起源のクモガタ類を側系統群とし、カブトガニ類などを「二次的に水棲化したクモガタ類」とする見解もある。しかしこれは解剖学と古生物学的証拠に相容れず、特にその数多くの水棲性質(書鰓・複眼・顎基など)は最大節約法から二次的とは考えられにくく、真鋏角類の祖先形質であった可能性の方が高い。
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