節婦旌表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:53 UTC 版)
ほか、元代に女性の転換点を見る上で、節婦(夫との死別の後に貞潔を貫いた女性)に対する「旌表」が重視されることもある。「旌表」とは王朝が個人の善行を表彰する制度で、漢代から存在しているが、当初はその対象は孝子(親に対して孝を尽くした子)である場合が多かった。ところが、元代に入って節婦や烈婦(夫の死に際して自身も殉死した女性)に旌表を与えることが多くなり、この傾向は明代により高まる。節婦を重視する傾向は、唐宋以前はさほど明らかではなく、元代以降に特徴的な観念である。酒井 (2006, p. 52)は、元代に科挙の停止や官界の縮小が起こり、人々が特権を獲得することが困難になったことで、徭役や課税の免除という特権を受けるための手段として節婦旌表が注目されたと論じている。 元代に科挙が廃止されたことで、知識人層でも漢族には困窮する者が増え、妻の仕事が重要な収入源となることもあった。こういった妻の貢献はしばしば墓志銘に記載されており、妻が織物仕事に従事し一家の収入を助けた話や、夫の両親の世話をした話、水を運び食糧の調達に勤しんだ話などがある。
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