科学概念の誤用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/08 22:48 UTC 版)
「明かされた秘密」という章には量子物理学者フレッド・アラン・ウオルフの発言が引用されており、それによると「マインド(創造的思考力)なくしては宇宙は存在し得ないことが、量子力学によって発見」されているという。他に量子物理学者ジョン・ヘーゲリン(英語版)(ジョン・ハガリン)の名と「宇宙は本質的に思考でできている」などの言葉も挙げられており、量子力学が説明原理として援用されていることが伺える。(なお、ジョン・ヘーゲリンは、瞑想による能力開発と地上天国の実現を目指す超越瞑想運動のリーダーである) バーンの科学的主張は、主に量子物理学に関するものであるが、ニューヨークタイムズのクリストファー・チャブリス(英語版) と ダニエル・シモンズ(英語版)、ハーバード大学のLisa Randallら多くの著者によって否定されている。Mary Carmichael と Ben Radford は the Center for Inquiry に書いた文章で、科学的根拠はないと指摘し「自明の理と魔術的思考をミックスし、ある種の隠された謎として提示する、時間をかけたトリック」と結論付け、基本的に新しいニューソートであるとした。 フレッド・アラン・ウオルフは、『ザ・シークレット』では科学的な発言が大量に削られ、単純な内容だけが残されたと語っている。彼自身は引き寄せの法則が物理学に則っているとは全く言っていないという。著書の中ではむしろ「量子力学は、人間の力の限界を指示しているようである。」「今のところ、我々が観察するものの大半は、その観察によってなんの影響も受けていない」と記している。 ジョン・ヘーゲリンの考えには、大多数の量子物理学者は反対しており、カリフォルニア大学のブルース・シュムンは、量子力学や量子宇宙学で宇宙の思考を確認できると考える物理学者や宇宙研究者を見つけることは難しく、「これは科学が取り組んでいないテーマであり、科学者は現時点では証明できないと考えている」と述べている。量子力学によると、観察者が意図的に宇宙に影響を与えることはできない。シュムンによると、ヘーゲリンの研究には主流の科学者が評価するものもあるが、偽科学的なものもあり、そうした研究は大多数から評価されていない。 ニューヨークタイムズの クリストファー・チャブリス と ダニエル・シモンズ によると、バーンの疑似科学知識の乱発は、こうした物事を語るのに十分な知識を持っているという「知識の幻想(illusion of knowledge)」の確立に寄与している。
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