秋風の荷とねむりゐる渡り漁夫とは? わかりやすく解説

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秋風の荷とねむりゐる渡り漁夫

作 者
季 語
季 節
秋 
出 典
青波座 
前 書
 
評 言
 一句中に秋の季語と春の季語の入った季重じゃないの、と怪訝思われるかもしれない無理もない。<秋>は秋の季語であり、<渡り漁夫>は春の季語であるから
 春さき漁期近づくと、網元雇われて、北海道へ渡る漁夫のことを「渡り漁夫」といい春の季語である。かつては四、五月ごろ産卵のため北海道西海岸押し寄せたも、回遊コース変化により、日本近海ではバッタリ獲れなくなった当然ながら鰊漁はすたり、渡り漁夫の季語は消えつつある。その一方かぎらず烏賊やほっけなどの渡り漁夫もいる。
 このように、季節を限定しない漁場渡り歩く漁夫のこともまた「渡り漁夫」という。
 かつては私の故郷漁港町・久慈浜にも渡り漁夫言ってみれば出稼ぎ漁夫がいた。
 掲句高橋麻男さんの第二句集青波座』に収められている。昭和四十七年一九七二)北海道旅した折の作品津軽海峡連絡船客室で、旅人くつろぐ光景彷彿する。
 私は秋刀魚秋鰹戻り鰹)・秋鯖などの漁期である。とくに北海道ではするめ烏賊漁期であり、この時期松前などではするめ烏賊渡り漁夫迎えるという。
 一仕事終えてふるさとに戻る渡り漁夫一人船室身の回りのものと土産などを入れた行李傍らに眠る。渡り漁夫乗り合わせたありし日の麻男さんの、温かい眼差し感じられると共にリアリズム俳句真髄究めていると感銘している。
 高橋麻男さんは、茨城県俳句作家協会会長ほか要職長年務められ、俳壇発展貢献されると共に広く後輩育成尽力された。また七十年の歴史を持つ久慈俳句会の講師として、長く指導して頂いた昭和五十九年(一九八四)に没した

鶴岡しげを) 
評 者
 
備 考
 



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