祈祷書の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/13 02:58 UTC 版)
聖公会において、祈祷書(きとうしょ、The Book of Common Prayer)とは、聖公会系の教会で使用される、祈祷・礼拝・儀式における手順を示した規則書である。誕生・洗礼から婚姻また葬儀まで、起床から就寝まで、信者の公的および私的信仰生活のすべての局面が一冊の本である「祈祷書」に集成されており、この一冊のみを用いることは、聖公会の著しい特徴の一つである。祈祷書は現在も、世界各地の聖公会系の教会・礼拝で使われている。 祈祷書はイングランド宗教改革のなかで、カトリックの聖務日課(時祷書)から派生して作成された。祈祷書以降、その規則にのっとりそれまでのラテン語による礼拝から英語が礼拝で使用されるようになった。16世紀から17世紀にかけて幾度か大幅に改訂された。ヘンリー8世からメアリ、エリザベス1世治世下でプロテスタント・カトリックのせめぎ合いがおこり、そのたびに祈祷書も大きく変更されたが、大きな改訂は1662年が最後になった。 しかし祈祷書の細かい修正はその後もたびたび行われた。聖公会における典礼神学の安定を反映して構成上の大きな改訂がなされなかった一方、祈祷書の源泉をなす聖書の読み、すなわち英語翻訳は、イングランドにおける聖書学および古典文献学の発達をその時々に反映し、細かい表現の改訂がたびたび行われた。欽定訳は長く改訂がなされなかったが、しかし典礼で実際に用いられる頻度の高い祈祷書の改訂を通じて、近世の聖公会は本文研究の成果の恩恵に多く浴していたということができる。
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