社会と道義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 04:31 UTC 版)
「エドワード8世の退位」の記事における「社会と道義」の解説
政府閣僚や王室は、ウォリス・シンプソンの経歴や行動は、王妃として受け入れがたい物だと考えていた。彼女に関する噂や陰口が出回った。 国王の母であるメアリー王妃は、シンプソンが中国の売春宿で学んだ方法により、原因不明の性機能障害から解放する事でエドワードをある種の性的支配下に置いていたのではないかと述べた。この視点は、カンタベリー大主教のチャプレンであるアラン・ドン(英語版)も一部共有しており、彼は国王が「性的に異常であり、それが夫人が彼を支配している理由の説明になるかもしれない」と書いている。 エドワード8世の公式伝記作家であるフィリップ・ジーグラー(英語版)でさえ、「ある種のサドマゾヒスティックな関係があったに違いない... (エドワードは)彼女による自らへの軽蔑やいじめを楽しんでいた。」と述べている。 シンプソンを尾行していた警察の刑事は、彼女は、エドワードとの交際中に、ガイ・トランドルという既婚の自動車整備士兼セールスマンとも交際していたと報告している。 この事は、王族を含む体制側の幹部にも伝わっていた可能性がある。 後に駐英アメリカ大使となったジョセフ・P・ケネディは彼女を「売春婦」呼ばわりし、彼の妻ローズは彼女との会食を拒んだ。 ウォリスはエドワードの財産が目的であると思われており、彼の侍従(英語版)は、彼女は「財産を確保した」として、最終的には彼の元を去るだろうと書いている。後に首相となるネヴィル・チェンバレン(当時は財務大臣)は、日記の中で彼女の事を「国王に恋している訳でもなく、自分の目的のために彼を利用している。まったく不謹慎な女だ。彼女は既に金と宝石で彼を破滅させてしまった......」と書いた。 戦間期の英米関係は緊張しており、イギリス人の大半はアメリカ人を王妃として受け入れる事に抵抗を覚えていた。 当時、一部のイギリスの上流階級はアメリカ人を軽蔑し、社会的に劣っていると考えていた。 一方でアメリカの一般市民は明確に結婚を支持しており、ほとんどのアメリカの報道機関も同様であった。
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