真理と意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 08:10 UTC 版)
「ドナルド・デイヴィッドソン」の記事における「真理と意味」の解説
1967年の論文「真理と意味」も重要な論文である。習得可能な言語は、それが理論上無限個の表現をもっている場合でも、有限の形式内で定式化することが出来なければならない。というのも、もしそれが有限の形式内で定式化できないとすると、人間が言語を学ぶ時のような有限の経験的な方法によっては習得できなくなってしまうからだ。従って、有限の公理体系によって無限の文に意味を与えることが出来るような理論的な意味論を、全ての自然言語に対して与えることが出来なくてはならない。更にデイヴィドソンは、特にカルナップの議論に従い、「文に意味を与える」とは、その文の真理値を述べることに等しいと主張する。こうした主張によって、フレーゲに由来する真理条件的意味論(英語版)が新たに活気づくことになった。デイヴィドソンの提案によれば、意味の理論は対象となる言語が持つ個々の有限の文法的特徴を区別できなくてはならず、そして、その特徴の各々についてその働きを説明できなくてはならない。この説明は、その特徴を用いている全ての(無限に多い)文の真理条件について、トリヴィアルな(明らかに正しい)言明を生み出してやるという方法で行われる。つまり、意味の理論が、対象となる言語に適用された場合に、その言語の全ての文に対して、「「p」が真なのはpであるときでありそのときに限る」(例:「「雪が白い」が真なのは雪が白いときでありそのときに限る」)という形式の文(T-文)を生み出せるなら、この意味論が正しいという証拠になる。(デイヴィドソンはこのアイデアをアルフレッド・タルスキから学んだ。) 多くの哲学者が、自然言語に対するデイヴィドソン流の意味の理論を発展させようというプロジェクトに着手し、またデイヴィドソン自身も、引用や間接話法、行為の記述に関する論文を通してこれに貢献した。
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