盗品等の回復請求権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/04 02:18 UTC 版)
盗品又は遺失物については、即時取得が成立する場合において、もともとの権利者に回復請求権又は、買取請求権が認められている。 回復請求権盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる(第193条)。 買取請求権競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、代価を弁償しなければ、その物を回復することができない(194条)。 占有者が古物商・質屋営業者・公益質屋である場合には、その占有者が公の市場での取得や善意で取得した場合であっても、被害者及び遺失主は1年以内に限り無償で回復できる(古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第二十条:盗品及び遺失物の回復.e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 、質屋営業法22条)。 第193条は、遺失物が遺失物拾得(原始取得である)により所有権が適法に移転した場合には適用が無い。 また、詐欺罪や業務上横領罪などによるものでは、回復請求権による返還請求はできないとされている。 これに関して係争となっている例として、造幣局東京支局(当時。現・さいたま支局)に勤務していた50歳代の男性職員が、2014年から2016年にかけて勤務先から金塊を盗み出して、東京都や埼玉県の質屋に質入れした。この職員は窃盗罪で懲役5年の刑となった。この件において、造幣局側は各質屋に、回復請求権に基づき返還請求をしたものの、質屋側は「横領品であるため」として応じず、造幣局側は「当該の職員の行為は窃盗罪だ」として、東京地方裁判所とさいたま地方裁判所に、各質屋を相手取り訴訟を起こしている。
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