盗刺胞について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/02 01:50 UTC 版)
「フウセンクラゲモドキ」の記事における「盗刺胞について」の解説
この種がクシクラゲとしては異例にその触手に刺胞を持つことはその記載直後より知られ、当初はこれが本種自身のものと考えられたが、これが刺胞動物から取り込んだもの、つまり盗刺胞によるとの判断も出され、具体的に剛クラゲ類がその餌であろうとの説も出た。後述のようにこの特徴は刺胞動物と有櫛動物の系統の問題に大きな鍵になるものと考えられたために注目を受けた。この問題に判断がついたのは1980年代であった。飼育観察の結果から、本種にクラゲ以外の動物プランクトンを餌として与えた場合、若い個体では成長が見られるものの刺胞が増加しない。大型の個体では触手が次第に退化して餌を取れなくなってしまうことが示された。更に本種は剛クラゲの1種であるツヅミクラゲを好んで捕獲することが発見された。 盗刺胞を行う動物として有名なのは軟体動物腹足類のミノウミウシ類であるが、この類では餌がほぼ刺胞動物に限定され、その盗刺胞は刺胞動物食に特化したことによる副産物との見方が出来る。それに対し、本種の場合、餌として刺胞動物を捕食するのではあるが、逆にそれによって刺胞を得なければ捕食行動が出来なくなる。つまりクラゲを食うのが刺胞を得るための方法になる、つまり刺胞を得ることがむしろ目的になっている点で、本種の盗刺胞はミノウミウシのそれより1歩進んだものと見ることも出来る。
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