発言の波紋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 01:39 UTC 版)
「¿Por qué no te callas?」の記事における「発言の波紋」の解説
この一件のあと、チャベスはフアン・カルロス1世に対して、国王としての立場の民主的合法性や、2002年のベネズエラクーデターとスペイン政府との関わりを問う声明を発表した。その中でチャベスはアスナールに対する発言を撤回することはせず、逆に彼をアドルフ・ヒトラーになぞらえてさらに批判を強めたばかりか、ベネズエラの最大の貿易相手国且つ最大の投資元であるスペインの企業の経済活動への監視をより強めるとの意向も発表した。これに対してスペイン政府は、選挙により選出されたアスナールの名誉を守ったサパテロやフアン・カルロス1世を高く評価し、擁護する姿勢を見せた。 その数日後、チャベスはフアン・カルロス1世に謝罪を要求するとともに、国交関係の見直しやベネズエラに進出しているスペイン企業の提訴を検討していることをスペインに通告した。チャベスはスペイン帝国の植民地政策を引き合いに出し、「先住民の喉を切り裂き、体を細切れにして、持ち去っていく。それがスペイン帝国がここでしたことだ」「スペイン国王が見せた傲慢さを見れば、シモン・ボリバルによって南米諸国が独立へ導かれたことが必然と感じられる」として非難を続けた。また、ベネズエラのテレビ局は、スペインの独裁者フランシスコ・フランコとその召使フアン・カルロス1世というキャラクターが登場する風刺番組を放送したが、この番組では1978年に国民投票で君主制の維持が可決されたことや、1981年に国王がクーデター(23-F)を抑え込んだことなどは触れられていない。これに対しスペイン外務省は、それまでチャベスが攻撃対象としていた「アメリカ帝国主義」に代わって「スペイン帝国主義」が新たな攻撃対象になるのではとの危機感が生まれ、「国王の発言がスペインとラテンアメリカ諸国との関係を象徴するものということはまったくない」と高まる緊張関係を否定した。 この一件に関する南米諸国の対応も分かれ、ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領はチャベスを擁護したのに対し、ペルーのアラン・ガルシア大統領やエルサルバドルのアントニオ・サカ大統領はフアン・カルロス1世を支持した。『ロサンゼルス・タイムズ』は「がさつで礼儀知らずのチャベス大統領と、他国の国家元首を見下すフアン・カルロス1世のどちらが悪いとは言えない」という中立的な社説を載せ、『ワシントン・ポスト』は「いまスペイン語圏は大きな混乱の渦の中にある。フアン・カルロス1世は各国の首脳たちに『(どちらを支持するかについて)どうして君は喋らないのかね?』と聞いて回る必要がある」とフアン・カルロス1世の発言を引用して風刺した。
※この「発言の波紋」の解説は、「¿Por qué no te callas?」の解説の一部です。
「発言の波紋」を含む「¿Por qué no te callas?」の記事については、「¿Por qué no te callas?」の概要を参照ください。
- 発言の波紋のページへのリンク