発生・消滅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 15:41 UTC 版)
小惑星族は小惑星同士の衝突によって形成されたものと考えられている。多くの場合、母天体が砕け、類似した軌道上に小惑星族となる多くの小惑星が残る。また、母天体を完全に崩壊させない程度の大型のクレーター形成の結果、小惑星族が生成されることもある。ベスタ族、パラス族、ヒギエア族、マッサリア族など、小惑星族全体の体積に対して大きな小惑星を持つ小惑星族の多くはクレーター形成の結果できたものと考えられる。 いくつかの小惑星族では現在満足に説明できない複雑な内部構成のものもあるが、これらのものは同じ軌道範囲内で何度か衝突があったのではないかと考えられている。 衝突でできるゆえ、ほとんどの小惑星族内の小惑星の構造は良く似ている。大型の小惑星に大きな衝突が生じてできたものは核部分と表層部分に違いがあるため、小惑星のスペクトル型が違う小惑星が含まれることもある。 小惑星族の寿命はさまざまな外部要因にもかかわっているものの、およそ10億年程あると考えられる。これは太陽系の年齢(46億年)に対し短いため、太陽系の初期にできたものはもう小惑星族としての軌道共有の機能を失っているだろうと考えられている。 小惑星族が崩壊していく理由は次のようなものが考えられる。 主に木星からの摂動で速度を失い軌道の範囲内から消える。 小惑星間の衝突で小さく粉になっていく。 木星との軌道共鳴。 ヤルコフスキー効果などの影響で軌道範囲から放出される。 小さい小惑星のほうが軌道共鳴やヤルコフスキー効果などを被りやすいため、急速に小惑星族の軌道範囲から消えていくと考えられる。いくつかについては一億年近くから数百万年足らずまで試験的に時代が見積もられており、カリン族は数百万年程度の年齢と考えられる。 年齢の高い小惑星族ほど属する小惑星が拡散し、属する小惑星が少なくなると考えられ、これが一番簡単な小惑星族の年代測定の基準となっている。小惑星番号の大きい古い小惑星族である場合、隕鉄の科学的比率が分析の更なる証拠になる。小惑星が生成する際、コアが露出し削れるか、崩壊する程度の衝突があったと考えられ、これは母天体が最小でも50から100に砕ける余裕のある大きさであったことを示す。このため属する小惑星が少なければそれだけ古いものと考えられるからである。 上記のような理由で小惑星族は、中期には小型中型の小惑星の多くを失い、最終的に大型小惑星のいくつかを残すのみとなり、それも消えていく。メティスとアマルテアの二つはそのような小惑星族の最終的なものではないかと考えられている。
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