発現用ベクター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 14:05 UTC 版)
プラスミドは大腸菌や酵母の発現ベクターとして一般的であるうえ、昆虫細胞や哺乳類細胞でもリポフェクションなどで一過性の発現に用いる場合がある。昆虫細胞ではバキュロウイルス、哺乳類細胞ではレンチウイルス、アデノウイルスやアデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクターが用いられる。 一般的な大腸菌用発現ベクターは目的タンパク質発現用の遺伝子カセット(プロモーター、目的タンパク質をコードする遺伝子配列、ターミネーター)、ベクターが宿主内で自律的に増殖維持されるための複製起点、ベクターの導入された宿主細胞を選抜するためのマーカー遺伝子カセットを含む。 ベクター上にクローン化された遺伝子配列はPCRや制限酵素などを使った遺伝子工学的手法により容易に編集可能であるため、例えば酵素の活性部位に変異を導入して機能解析を行うことが可能である。また、タンパク質の端にHis-tagなどの精製用のアフィニティタグ、MBPなどの可溶化タグ、分泌シグナルなどのシグナル配列を付加することで比較的容易に精製することが可能となる。 さらに、精製用タグと目的タンパク質の間にプロテアーゼ認識配列を導入しておくことで、精製後にタグを切り離し、よりインタクトに近い組換えタンパク質を得ることができる。
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