甲中期型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 20:21 UTC 版)
1933年(昭和8年)後期から1934年(昭和9年)頃までの仕様。甲中期型は、甲初期型から甲後期型への過渡期であり、生産数は少ないとされる。水冷ガソリンエンジン搭載型。車体前面が大きく変化し、傾斜した一枚板になる。乗降用前扉は一枚板になり、車体右向きに開く。操縦手用の視察扉の形状がブロック状になる。視察扉の回転展望窓は車体中央寄りになる。側方視察用の窓が車体左右袖部(ゆうぶ、車体側面の張り出し部分)前部に設けられる。車体右袖部前部に拳銃孔(ピストルポート)と覘視孔が設置される。車体左右袖部上面の給油口蓋は、右5個左2個。車体前面中央に小型前照灯(明暗二段階切り替え式)を装甲蓋付きの格納式に設置する。フェンダー支持架の廃止。超壕用の尾体が装備されるが、無い車輌もある。車体後部上面に気化器用空気取り入れ口が設置される。九〇式五糎七戦車砲と九一式車載軽機関銃を装備。車体銃の基部に装甲被(カバー)が追加される。マフラー基部に防弾板が追加される。前部フェンダーに補強板が追加される。甲中期型は、砲塔と懸架装置によって、前期仕様と後期仕様にさらに分類される。 甲中期型前期仕様 旧型砲塔。前期型懸架装置。旧型砲塔に大型展望塔が付いた物もある。 甲中期型後期仕様 新型砲塔。砲塔前面が平らになる。大型展望塔が設置される。大型展望塔は前後に二分割のハッチを持つ。砲塔左側の回転展望窓は廃止される。後期型懸架装置。後期型懸架装置では、超壕能力を高めるために誘導輪が前方に50cm突出する。またサスペンション取り付け位置が15cm下げられ、車体下面と地表とのクリアランスが広くなる。上部転輪(リターン・ローラー)が5個から4個になる。また上部転輪支持架が廃止され、上部転輪が片持ち式になる。
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