環境変容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 04:16 UTC 版)
とりわけ1990年代以降、行政、そして行政学を取り巻く社会環境は大きく変貌しているとされる。グローバル化、都市型社会化、サブ政治化など、論者によって言葉は様々であるが、そこに共通するのは、行政活動の担い手としての官僚制(公務員制)を前提としてきた既存の認識枠組が、大きく変容を迫られているということである。社会システムが国家・地域の枠組を超えて相互依存的な体系を深化させ、ある国のある地域で発生した出来事が社会システムを介し、全く別の国の別の地域にダイレクトに影響を及ぼす事態が多発すれば、当然それに対し市民が行政に期待する公共サービス(規制・給付行政)の内容も複雑化する。しかしながらグローバル化時代において、中央政府の社会に対する規制・調整能力は相対化されており、加えて財政能力や専門性・総合性の観点から、これらの変容に対し中央政府が常に効果的な対応が可能であるかといえば必ずしもそうではない。このような状況の中で、単に行政機関の補助ではなく、公共サービス形成・提供の積極的な担い手として、地方政府・国際機関・私企業・市民活動(NPO・NGO活動等)・専門家集団(シンクタンク・大学等)といったような集団が意識されるようになり、現にそのような転換も随所に観察できる。以上のような社会実態の変化に対し、行政学が如何にこれに向き合い、如何に処方箋を提供していくのか、といった課題が生まれてきている。
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