現金残高方程式(ケンブリッジ方程式)とマーシャルのk
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/03 04:14 UTC 版)
「貨幣数量説」の記事における「現金残高方程式(ケンブリッジ方程式)とマーシャルのk」の解説
アーヴィング・フィッシャーとほぼ同時代のイギリスの経済学者アルフレッド・マーシャルも、独自に貨幣量と経済水準の相関関係に着目していた。1871年頃には着想を得ていたとされ、1923年に文章化、完全な定式化は弟子のアーサー・セシル・ピグーによって公刊された。貨幣数量説を批判的にとらえる論拠とされるアイデアである。 M = k ⋅ P ⋅ Y {\displaystyle M=k\cdot P\cdot Y} ここで M はある期間中の任意の時点t における現金残高(=ストック) k は比例定数で、マーシャルのkと呼ばれる P はある期間中の任意の時点t における物価水準(通常は基準年度を1としたデフレータ) Y は実質GDP である。 P Y は名目GDPであり、ケンブリッジ方程式の要諦は「現金として保有される残高は名目GDPに比例している」というものである。人はある年間所得(P Y)の水準に比例する程度に、つねに手元に投資や貸付、消費に回してしまわない資金量を一定(M )確保していることが予測できる。その割合比率(k )は貨幣選好であるが、マクロ経済全体で合計した場合にも同様の傾向があるはずである。そこで経済全体をおしなべた結果としての貨幣選好をk とすれば前述の方程式で記述される。なお、このマーシャルのkの逆数(P Y /M )は、貨幣の所得 流通速度と呼ばれる。フィッシャーの交換方程式とは異なり、特定時点での現金残高Mや、期中での名目GDP(名目総生産=名目総所得)は直接の統計や推計により比較的容易に計測することができる。また、k やP が変化しないという仮定の下では、M を増加させることでY を増加させることができるという関係を表している。
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