現代の漁労
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:36 UTC 版)
日本(太地)では漁師から選抜されたグループ(専業者)が漁を行う。 数隻の船団で出航して、まず小型鯨類の群れを肉眼、そして双眼鏡を用いて探す。太地町等では、他の漁船による小型鯨類発見の報を受けて出航し、水揚げ後にその発見者に対して「発見料」を支払うこともある。小型鯨類の群れに接近すると漁師たちは金属性の棒を海中で鳴らし、小型鯨類に音を避けさせるようにし、湾内に追い込む。小型鯨類が湾内に入ると逃げられないように魚網を素早く閉じ確保する。捕獲作業は小型鯨類が落ち着くのを待って、翌日以降に行われることもある。捕獲は、湾内で囲っていた小型鯨類を、漁船で水深数十センチほどの海岸まで、捕まえやすいように追い込む。そして、ウェットスーツを着た漁師が浅瀬に入り、小型鯨類の尾びれにロープを掛ける。このロープを、岸に張った長い綱に固定し、小型鯨類の動きを抑える。そして、動きの鈍った間合いを見て小型鯨類を絶命させる。このとき、首を切開する方法などが採られていたが、小型鯨類に苦痛が多いとの批判を受けることがあり、2000年以降はフェロー諸島で用いられているのと同じ、頸椎に金属ピンを刺す方式が導入された。新しい方式は、脊髄と周辺の血管叢を同時に切断することで脳への血流を停止させるもので、小型鯨類の苦痛を軽減するとともに作業の安全を向上させる効果がある。ただし、スジイルカとマダライルカについては、水際で激しく暴れるために新方式の利用は困難で、改良のため研究が続けられている。また、1933年以後、太地では水族館向けに生け捕りをした記録が残る、が前述の通り散発的な漁であり、その需要が途絶えた戦争をはさんで、12年ぶりの捕獲成功で本格的に再開したのは1969年以降である。現在では小型鯨類の購入希望者は、岸近くまで追い立てられた個体の中から性別、サイズなどをもとに希望する小型鯨類を選び、傷の有無等を確認する。そして、購入が決まった小型鯨類は胸びれ用の穴があいた専用の担架に載せられ、トラック等で輸送される。
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