犯罪報道の目的
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 15:31 UTC 版)
犯罪報道は市民が犯罪を知る上で重要な役割を果たしている。2004年9月に内閣府から発表された「治安に関する世論調査」では、治安に関心をもったきっかけとして、「テレビや新聞でよく取り上げられるから」と回答した者が83.9%と最も多く、2位の「家族や友人との会話で話題になったから」の30.0%を大きく引き離している。 犯罪報道には、捜査機関からの発表や裁判から犯罪の原因を分析し、犯罪が二度と起こらないよう提言する再発防止の目的がある。テレビが犯罪報道を行う目的は、犯罪を生んだ背景を考え、その原因を個人の「心の闇」に帰すのではなく、自分たちと地続きなものととらえ、社会を考える材料にするためだろうという指摘がある。 また、犯罪者の実名や生い立ち、犯行内容を報道することによって犯罪者に社会的制裁を加え、再犯予防を図る特別予防効果がある。犯罪報道は司法に先立って社会的制裁を加えるためにあるのではないと指摘もある。司法は犯罪を個人の責任と考えるのに対して、ジャーナリズムは社会により責任を見出そうとするからである。 犯罪の一般予防効果 犯罪者の実名や生い立ち、量刑を報道することによって、市民に対して犯罪を起こすことが割りの合わないことだということを周知する。 公権力の監視 捜査機関が適正に捜査し、被疑者の人権が守られているかどうか監視する。 犯人逮捕への協力 逃亡中の犯人について報道することによって、逮捕への市民の協力を求める。 犯罪被害者の救済 犯罪被害者の苦しみを取り上げることにより、犯罪被害者への救済措置や厳罰化を実現する。 なお、犯罪報道では報道が犯罪の背景を対象とする客観的分析には向かわず、犯罪事実とは直接関係のない周辺的事実の報道によって特殊ケースとして扱われる傾向があるという指摘がある。
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