物質の拡散
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 06:38 UTC 版)
物質の拡散とは、各分子(または原子)の熱運動に基づく物質の運動であり、固体、液体、気体、また超臨界流体中でも起きる。以下のような例がある: ヘリウムを詰めた風船は数日置くとわずかにしぼむ。これはヘリウム原子が風船の壁を通して拡散するからである。 スパゲッティをゆでると水分子が内部へ拡散し、スパゲッティは膨張し柔らかくなる。 におい物質は気体として拡散し部屋に充満する。 水中に入れた砂糖はかき混ぜなくてもゆっくり溶解し砂糖の分子が拡散して水全体に広がる。 物質拡散の理論的研究は以下のように発展した。 拡散現象を初めて定量的に研究したのは、スコットランドの化学者トーマス・グレアムで、1829年に気体における拡散、1850年には液体における拡散の詳細な観察を報告している。「気体の拡散速度は分子量の平方根に逆比例する」というグレアムの法則、コロイド化学のパイオニアとして知られている。 1855年にアドルフ・オイゲン・フィックがフィックの法則を提唱した。フィックによる貢献は、拡散係数を定義し、実験データを簡潔に整理することを可能にしたことであると言われている。 1896年、ロバーツ・オーステンにより、固体内拡散の定量的研究がおこなわれた。彼はLe Chatelierにより1888年に発明された白金・白金ロジウム熱電対を用いて系の温度を一定に保ち、鉛中の金の高速拡散を測定した。 1920年、ゲオルク・ド・ヘヴェシーにより天然RIを用いた自己拡散(マックスウェルによって示唆された)の測定がなされた。
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