物理的および化学的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 01:17 UTC 版)
ホウ素には複数の同素体があり、物性値は同素体によって異なる値を示すが、全体として高融点かつ高沸点な硬くて脆い固体である。たとえば融点はアモルファスホウ素で2300 °C、β菱面晶ホウ素で2180 °Cであり、沸点はβ菱面晶ホウ素で3650 °Cである。アモルファスホウ素は2550 °Cで昇華する。β菱面晶ホウ素のモース硬度は9.3。比重はα菱面晶ホウ素が2.46、β菱面晶ホウ素が2.35である。 単体のホウ素は金属元素と非金属元素の中間の性質を示す半金属元素であり、安定した共有結合を形成するという点では、同じ第13族元素であるアルミニウムやガリウムなどの金属元素よりもむしろ炭素やケイ素と類似した性質を示す。これはホウ素の第一イオン化エネルギーが8.296 eVと非常に高いためイオン化しにくく、2s22p1の最外殻電子がsp2混成軌道を形成する方がエネルギー的に有利であることに起因する。単体ホウ素におけるホウ素同士の結合もまた共有結合性が強いため、自由電子として導電性に寄与できる電子が少なく、導電性を示すものの導電性は低いという半金属に特有な性質が現れる原因となる。また、このような電気的特性を有するため単体ホウ素は半導体としての性質を示す。 結晶性ホウ素は化学的に不活性であり、フッ化水素酸や塩酸による煮沸に対しても耐性を示す。微細粉末は熱濃過酸化水素や熱濃硝酸、熱硫酸もしくは熱クロム酸混液に対して徐々に侵される。ホウ素の酸化率は結晶化度、粒径、純度および温度に依存する。ホウ素は室温では空気と反応しないが、高温では燃焼して酸化ホウ素を形成する。 4 B + 3 O 2 ⟶ 2 B 2 O 3 {\displaystyle {\ce {4B + 3O2 -> 2B2O3}}} ホウ素はハロゲン化によって三ハロゲン化物を形成する。 2 B + 3 Br 2 ⟶ 2 BBr 3 {\displaystyle {\ce {2B + 3Br2 -> 2 BBr3}}} 三塩化ホウ素は通常、酸化ホウ素から合成される。
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