無質量脚モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 05:37 UTC 版)
歩行ロボットを最も理想的な姿にしたのが無質量脚モデルで、理論上の制御モデルである。脚の質量はゼロで完全剛体。質量は全て胴体にあると仮定する。胴体の重心位置と股関節の位置は完全に一致する。したがって全身の重心位置も股関節と一致する。 無質量脚モデルだと脚の動作で重心が変動しない。さらに股関節と胴体の重心位置が一致しているのでモーメント力が発生せず、それを打ち消すためのトルクが必要なく、従って足首トルクも必要ない。床面への力と反動、重心位置だけを考えればいいため運動方程式が簡単で、アクチュエータの数も最小限なので制御も簡単である。1980年頃、歩行現象の理論化のために無質量脚モデルが盛んに研究された。 無質量脚モデルは最も歩行を実現しやすいモデルだが、現実に製作することはもちろん不可能である。しかしそれに近いロボットに関する研究例は多い。日本では竹馬型ロボットと呼ばれる二足歩行ロボットが1980年頃から研究されている。竹馬型ロボットは腰の部分に脚を動作させるアクチュエータを持つ。脚は軽くするために伸縮するタイプが多い。原理的に人間の足(足首から下)に相当する部分は必要無いのだが、傾きを検出するためにポテンショナのみを装備した足首を持つ。機構が単純で製作しやすく制御も容易なので、ロボットにおける動歩行の実現はこのタイプが最も早かった。1982年に東大の下山勲らが竹馬型ロボットによる動歩行について論文を発表している。 欧米ではホッピングロボットあるいはホッピングマシンと言われ、日本より研究が進んでいる。ホッピングマシンで無質量脚モデルと言えるのは1本足や2本足のもので、1980年代から走行を実現している。ただしホッピングロボットは飛び跳ねていないと倒れてしまうので歩行は出来ない。
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