無矛盾性に関する注意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 02:06 UTC 版)
この定義から、集合がどのように形成されるか、および集合に対するどの操作が再び集合を生成するかはわからない。 「明確に定義された対象の集まり」の「明確に定義された」という用語は、それ自体では、集合を構成するものと構成しないものの無矛盾性と明確性を保証することはできない。これを達成しようとすると、公理的集合論または公理的クラス論の領域になる。 この文脈では、特定の公理的理論から導き出されていない(そして暗示されていない)、非公式に定式化された集合論での問題は、大きく異なる形式化がなされた版がありうるということである。これらは集合も新しい集合がどのように構成されうるかを定めるルールについても異なるが、すべてもとの非形式的な定義に準拠している。たとえば、カントールの逐語的な定義は、集合を構成するものをかなり自由に定義できる。一方、カントールが猫や犬を含む集合に特に関心を持っていた可能性は低く、純粋に数学的な対象を含む集合にのみ関心があった。このような集合のクラスの例は、フォン・ノイマン宇宙である。しかし、考えている集合のクラスを修正する場合でも、パラドックスを巻き込むことなく集合を構成するために、どのルールが許可されるかは必ずしも明確ではない。 以下の説明を修正する目的で、「明確に定義された(well-defined)」という用語は、むしろ、矛盾を除くための暗黙的または明示的なルール(公理または定義)を用いる意図として解釈されるべきである。この目的は、多くの場合深く困難な無矛盾性の問題を、普通はより単純なコンテキストから切り離すことにある。ゲーデルの第二不完全性定理のため、考えられるすべての矛盾(パラドックス)の明示的な除外は、とにかく公理的集合論では達成できない。したがってこれは、以下で検討するコンテキストにおいて、単純な公理的集合論と比べたときに素朴集合論の有用性を阻害するものではなく、単に議論を単純化するだけである。これ以降、特別な言及がない限り、無矛盾性は保証されるとみなす。
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