無矛盾性と完全性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 06:40 UTC 版)
「プリンキピア・マテマティカ」の記事における「無矛盾性と完全性」の解説
残された当時の関心は以下の2件であった。 プリンキピアの公理から矛盾が導かれるかどうか(無矛盾性の問題) 証明も反証もされない数学の言明が体系内に存在するかどうか(完全性の問題) 命題論理自体は無矛盾で完全であると知られていたが、同じことはプリンキピアの集合論の公理に関しては確立されていなかった。(ヒルベルトの第2問題を参照) ゲーデルの不完全性定理は、これら2つの関連する問題に予期せぬ光を投げかけた。 ゲーデルの第1不完全性定理は、プリンキピアが無矛盾かつ完全であることはできないことを示した。定理によれば、プリンキピアのような、十分に強力な論理体系には、それぞれ本質的に「言明Gは証明不可能である」と読める言明Gが存在する。このような言明は、キャッチ22とよばれる種類であり、Gが証明可能であればそれは偽で、したがって体系は矛盾しており、Gが証明不可能であればそれは真で、したがって体系は不完全である。 ゲーデルの第2不完全性定理は、基本算術を展開するどんな形式体系も、それを使って自己の無矛盾性を証明することはできない、と言う。 したがって、「プリンキピアの体系は無矛盾である」という言明は、体系内に矛盾がある場合のみで、プリンキピアの体系内で証明することはできない。
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