火山荒原や硫気孔原
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 08:48 UTC 版)
「日本の高山植物相」の記事における「火山荒原や硫気孔原」の解説
標高が比較的低い場所でありながら高山植物の群落が見られる場所として、火山活動によって噴出した溶岩や火山灰によって覆われた火山荒原の存在が挙げられる。北海道では渡島大島、駒ヶ岳、樽前山、本州では浅間山の溶岩流や火砕流の跡地が挙げられる。例えば浅間山の火山荒原では標高1300メートル付近まで高山植物の群落が見られ、これは周辺の地域で見られる高山植物群落より1000メートル以上低い場所である。 高山植物の群落が見られる火山荒原は、完新世という新しい時代に火山活動があった火山に見られる。火山活動によって森林が破壊され、そこに遷移の初期の段階で、荒れた土地でも生育が可能である高山植物の群落が発達するものと考えられている。また例えば有珠山のように近年比較的短期間の間に火山灰や溶岩を噴出する噴火を繰り返している火山では、高山植物の群落が成立することも困難となる。 プレートの収束帯であり、環太平洋火山帯に属する日本列島で見られる高山植物群落は、ヨーロッパアルプスと比較して火山荒原の高山植物群落など、火山活動の影響によって成立した高山植物群落が見られることが特徴の一つとして挙げられるp.145。また氷期に日本列島へやって来た高山植物は、東北地方など高山が見られない地域では火山荒原を伝いながら本州中部の高山帯まで分布を拡大したものと考えられている。 火山活動によって噴出された溶岩や火山灰に覆われた火山荒原以外にも、火山による二酸化硫黄や硫化水素などの噴気活動が活発である硫気孔原に高山植物の群落が見られる場合がある。例としては東北地方の恐山、蔵王山、北海道の恵山、屈斜路カルデラ内のアトサヌプリなどが挙げられる。これは二酸化硫黄や硫化水素の噴出や強酸性の土壌によって多くの種の植物の生育が阻害されるため、このような環境でも生育が可能な一部の高山植物の群落が発達するものと考えられている。
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