流派と流通
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/08 01:15 UTC 版)
手揉みには茶の産地毎に数多くの流派がありそれぞれ製茶手順が異なる。いずれも茶師は荒茶作りだけでも全行程に6時間以上もの時間を要し、得られる荒茶は300g程度である。機械製茶に比べ生産効率が極端に悪い(機械製茶では1人の茶師が1日で数百kgの荒茶を作ることができる)。手揉み製法はそれだけでも重労働かつ職人技であり、さらに手揉み茶の真価を活かすための「一芯二葉摘み」の茶葉は栽培自体が高度な技術と大変な手間を必要とし、茶師は手揉みの職人技だけでなく高度な栽培技術をも要求される。 団体として全国手もみ茶振興会があり、品評会や茶師の称号認定(4段階)を行っている。最上位は茶匠(さしょう)、その下が師範。茶匠が、品評会で日本一(農林水産大臣賞)を5回獲得すれば永世茶聖となる規定であったが、狭山茶を栽培・製茶する中島毅(師範)が日本一に8回選ばれたことをもって、2020年に初の永世茶聖となった。 現代において手揉み茶は、茶師による製茶技術の維持研究か、高級品の生産として行われている。希少価値に加えて、全国手揉み茶品評会で1等1席(農林水産大臣賞)を受賞した手揉み茶は、1kgあたり数十万円の値がつくことも珍しくなく、100万円を超えることもある。現在流通している手揉み茶は、そのお茶屋の主人の茶師が自分で作ったもの、もしくはこの品評会の入札会で落札されたものである。 また、現在では明治三十八年式製茶法の流れを汲む「標準揉み」が定められており、品評会や競技会ではこの揉み方をすることが多い。ただ、標準揉みが一般的になるにつれ、各流派の継承が難しくなっている実態もある。なかには、相良流のように既に担い手が居なくなっている流派も存在する。
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