派遣労働者自らの判断による事業者訪問
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 09:38 UTC 版)
「事前面接」の記事における「派遣労働者自らの判断による事業者訪問」の解説
派遣労働者が自らの判断の下に、就業を行う事業所として妥当であるかを判断するために、事業者訪問(職場見学、職場訪問、顔合わせ)などを行うことは、特定目的行為ではないとの要領を厚生労働省は通達している。 派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと。なお、派遣労働者又は派遣労働者となろうとする者が、自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問若しくは履歴書の送付又は派遣就業期間中の履歴書の送付を行うことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず、実施可能であるが、派遣先は、派遣元事業主又は派遣労働者若しくは派遣労働者となろうとする者に対してこれらの行為を求めないこととする等、派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止に触れないよう十分留意すること。 しかし派遣労働者の希望による訪問であったとしても、派遣労働者の特定を目的とする行為は禁じられているとする。したがって以下の行為を事業者訪問時に行うことは、派遣労働者の意思に関係なく特定を目的とする行為となる。 派遣労働者から事前に自発的な要請がない履歴書、経歴書、スキルシート、スキルリストの配布 派遣先への事業者訪問、履歴書等を派遣先に提供する行為について、派遣元または派遣先から派遣労働者または派遣労働者になろうとするものに同意確認を求めること 派遣労働者が自ら編集した履歴書等に、派遣元が加工・処理を施し、それらを派遣先に配布または提出すること 派遣労働者または派遣労働者になろうとするものに自ら経歴を話すように促すこと 派遣先からの職務経験についての質問 派遣先からのスキルについての質問、スキルチェック 派遣先部門責任者または派遣先採用・業務担当者の同席(派遣先が年齢、性別の確認をする蓋然性がある) 偽計を用いて事前面接等の行為が特定目的にあたらないと騙し、または無知につけこみ、派遣労働者に訪問や履歴書提出を希望するように誘導すること 上述の行為は派遣先が労働者配置に関与する蓋然性があるため、職業安定法44条に違反する恐れがある。 工場見学、会社見学等の一般公開されているものを含めて、厚生労働省は事業者訪問を許可しているのであり、派遣労働者から事前に要請のない履歴書提出や、雇用関係に混乱をもたらす配属先の上長と顔を合わせることが認められているわけではない。派遣先企業においては事業者訪問の応接は広報部門担当者などが行うなどの対策を整備して、特定目的行為とならないように対処する法的責任がある。 また派遣労働者が自らの意思で履歴書やスキルリストなどを提供することについても労働者供給事業となる蓋然性を排除できておらず、派遣先と派遣元には派遣労働者の意思に関係なく、これらの行為を求めないように留意する責任があるとしている。このため派遣元、派遣先企業が派遣労働者に対して履歴書等を提出してよいかなどの同意確認を求めて、履歴書等が派遣先に送られた後に派遣契約が成立した場合は、例え派遣労働者の判断の下による履歴書の提出であっても特定目的行為を構成し、派遣先が労働者の配置に関与するため労働者供給事業に該当すると解釈できる。 労働者供給事業に当たる蓋然性が高い、恐れがあるということについて、現行条文が「特定とすることを目的とする行為」と幅広い解釈の余地があることから、特定を目的とする一切の行為が職業安定法第44条に違反する可能性がある。自らの判断の下にという主観的要件を例外として運用する場合は、現行法との解釈上の問題が発生しうることから、例外も含めて禁止するか、法律を改定すべきなど、諸説議論が存在する。
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