法隆寺宝物館の建設
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「法隆寺献納宝物」の記事における「法隆寺宝物館の建設」の解説
献納宝物は、東京国立博物館の平常陳列の中で部分的に公開されてはいたが、献納宝物のみが一括して展示される機会は長らくなかった。そのため、献納宝物専用の展示館の建設は長年の悲願であったが、1961年、博物館構内南西の敷地にようやく展示館の建設が着工され、1962年竣工。「法隆寺宝物館」と名付けられたこの展示館は、文化財の万全な保存のため2年間コンクリートを枯らした後、1964年10月開館した。この展示館は2階建てで、展示館と収蔵庫を兼ねた建物であり、全ての展示は2階で行われていた。また、文化財保全のために毎週1回、木曜日のみの開館とされ、木曜日であっても雨天の日は閉館とされていた。 この一代目法隆寺宝物館は、建て替えのため、開館から30年後の1994年2月に閉館し、同年12月から新館の建設が始まった。旧館閉館から新館建設着工まで10か月を要しているのは、この地が寛永寺の旧境内であり、建て替えに際して地下遺構の発掘調査を行ったためである。レストランや図書室などを備えた新・法隆寺宝物館は、1999年7月に開館した。旧・法隆寺宝物館が週1日だけの開館であったのに対し、新・法隆寺宝物館は休館日以外、毎日開館することとなった。展示室は1階に2室、2階に4室あり、金銅仏や金属工芸品のような材質堅固で常設展示に耐えるものは常時公開される一方で、染織品などの脆弱な素材の文化財については、随時展示替えが行われている。室別の展示内容は以下のとおりである。 第1室 金銅灌頂幡(常設展示) 第2室 金銅仏、光背、押出仏(大部分は常設展示) 第3室 伎楽面 年3回、各1か月程度の期間のみ開室 第4室 木工・漆工 第5室 金工 第6室 絵画、書跡、染織 東京国立博物館では、これら宝物の学術的調査研究を継続的に行っており、その成果を『法隆寺献納宝物特別調査概報』として公表している。『概報』は、1981年刊の「伎楽面」を最初として、年1回のペースで刊行されている。
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