永楽館とは? わかりやすく解説

えいらく‐かん〔‐クワン〕【永楽館】

読み方:えいらくかん

兵庫県豊岡市にある劇場明治34年1901竣工近畿地方現存する最古芝居小屋昭和39年(1964)に閉館されたが、平成20年2008)、改修の上再開館した。出石(いずし)永楽館。


永楽館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/14 10:04 UTC 版)

永楽館
Eirakukan
情報
通称 出石永楽館
正式名称 豊岡市立出石永楽館
開館 1901年
客席数 332
延床面積 620 m2
用途 芝居小屋
所在地 668-0234
兵庫県豊岡市出石町
位置 北緯35度27分42.9秒 東経134度52分17.6秒 / 北緯35.461917度 東経134.871556度 / 35.461917; 134.871556 (永楽館
Eirakukan
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座標: 北緯35度27分42.9秒 東経134度52分17.6秒 / 北緯35.461917度 東経134.871556度 / 35.461917; 134.871556 (永楽館
Eirakukan
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アクセス JR山陰本線京都丹後鉄道宮豊線豊岡駅または山陰本線八鹿駅から全但バス「出石」行きで約30分、終点下車後徒歩3分
外部リンク 永楽館
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永楽館(えいらくかん、出石永楽館)は、兵庫県豊岡市出石町にある芝居小屋近畿地方最古の芝居小屋であり、現地に現存する日本最古の劇場建築である。所有者は豊岡市であり、正式名称は豊岡市立出石永楽館[1]

歴史

近代

1901年(明治34年)、出石城の城下町で代々染物を商ってきた小幡家の11代当主である小幡久次郎によって永楽館が建てられた。名称は出石城主仙石氏の家紋である永楽銭に因んでいる[2]。なお、同時期の1910年(明治43年)には熊本県八千代座が創立されている。1906年(明治39年)の出石初午大祭の際には昼夜2回に渡って歌舞伎の興行を行い、大入り満員の活況を呈した[2]

明治時代から大正時代にかけては歌舞伎の興行を主としたが、剣劇、壮士劇、新派劇落語、政談演説会の会場などにも用いられた[2]第一次世界大戦後には活動写真の興行が増え、1930年(昭和5年)に映写室が設置されると、1931年(昭和6年)には警官の臨監席も設けられた[2]

現代

戦後には映画の興行が主となった[2]。芝居の興行においては、花菱アチャコ一座、宝塚歌劇団、歌舞伎の林又一郎一座などが来演した[2]。その後、テレビの普及や娯楽の多様化などで映画産業が斜陽化したこともあり、劇場としては1964年(昭和39年)に閉館した[2][3]。戦後の出石町の映画館としては、永楽館のほかに東館もあった[4]

閉館後

劇場としての閉館後には建物の一部がパチンコ店などとなったが、やがて休業して1973年(昭和48年)に閉鎖された。1988年(昭和63年)10月には「出石城下町を活かす会」が発足し、永楽館を中心とした出石の町並みを残す活動が開始された[5]。1989年(平成元年)にはコンサートなどでに活用されて劇場再生の機運が高まり、1998年(平成10年)には出石町指定有形文化財に指定された。

復元改修後

公演時の客席と舞台

2006年(平成18年)6月28から2008年(平成20年)6月30日、豊岡市によって竣工時の姿への復元工事が行われた[6]。改修設計者は福岡建築事務所、改修施工者は川嶋建設。2008年(平成20年)8月1日から8月5日まで、6代目片岡愛之助一座による杮落大歌舞伎が開催された[7]

2009年(平成21年)5月21日、兵庫県建築士事務所協会主催「第8回くすのき建築文化賞コンクール」で夢芝居賞を受賞[8]。2010年(平成22年)5月19日、BELCA(ベルカ)ベストリフォーム部門賞を受賞[9]。2014年(平成26年)8月19日、兵庫県指定有形文化財に指定された[10][11]

女優の片桐はいりは個人的に永楽館を訪れたことがある[12]。2025年(令和7年)公開の映画「国宝」ではロケ地として使われた[13]

建築

永楽館
情報
構造形式 木造、土壁、切妻
敷地面積 723.54 m²
建築面積 488.00 m²
延床面積 687 .33 m²
※本館棟 610.89m2、附属棟 76.44m2
階数 2階建
文化財 兵庫県指定文化財
指定・登録等日 2014年8月19日
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1901年(明治34年)に竣工した。現地に現存する劇場建築としては日本最古とされる[14]。土壁と太鼓楼を特徴とする外観および、直径6.6メートルの廻り舞台、奈落花道、すっぽん(セリの一種)といった舞台機構、舞台用衣裳や上演記録が現存する。竣工当初の定員は700名だった。改修後の定員は332名である。

脚注

  1. ^ 豊岡市立出石永楽館の設置及び管理に関する条例豊岡市.2021年1月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 永楽館歴史年表 永楽館
  3. ^ 「出石永楽館」『読売新聞』2017年11月20日
  4. ^ 山口久喜(監修)『保存版 但馬今昔写真帖』郷土出版社、2006年、p.97
  5. ^ 芝居小屋にかける夢-出石城下町を活かす会”. ひょうご自治. 2020年10月19日閲覧。
  6. ^ 「豊岡市立出石永楽館」竣工について” (PDF). 豊岡市. 2020年9月28日閲覧。
  7. ^ 連日連夜 満員御礼!永楽館柿落(こけらおとし)大歌舞伎を開催しました(2011年12月16日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  8. ^ 出石永楽館が「くすのき建築文化賞コンクール夢芝居賞」を受賞!(2013年9月5日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  9. ^ 「出石永楽館」 BELCA(ベルカ)賞受賞碑が届きました!(2011年9月2日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  10. ^ 兵庫県広報(平成26年8月19日 第2621号)” (PDF). 兵庫県教育委員会. p. 20. 2020年9月30日閲覧。
  11. ^ 永楽館”. 文化遺産オンライン. 文化庁. 2020年10月20日閲覧。
  12. ^ 片桐はいり『もぎりよ今夜も有難う』幻冬舎、2010年
  13. ^ 映画『国宝』のロケ地が凄すぎた…現役にして文化財「圧巻の芝居小屋」の"驚く内部"”. 東洋経済オンライン (2025年6月17日). 2025年6月18日閲覧。
  14. ^ 現存する日本最古の劇場は旧金毘羅大芝居 金丸座だが、金丸座は移築されている。

参考文献

  • 片岡愛之助・清水まり 共著『愛之助が案内 永楽館ものがたり』集英社、2015年、9784087807424

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