気泡の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 08:23 UTC 版)
気泡(細胞とも言う)と隔膜の構造は、物性に大きな影響を与える。気泡が隔膜で完全に区切られている場合は反発力を持つ硬い構造となり、浮力や断熱に向いた性質を帯びる。気泡が繋がっている場合は空気や液体を通し、また柔らかい肌触りとなる。同じ発泡倍率下で気泡が小さくなると隔膜は薄くなる。また熱可塑性樹脂を発泡させると、全体の強度や接触面積の増加から耐薬品性は低下するが、隔膜を微視的に見ると二軸延伸効果から弾性や柔軟性および耐寒性は高まる。独立気泡と連続気泡の比率は、エアーピクノメーター法(空気比較式比重計)で計測される。 内部で気泡がどのように分散しているかについては、いくつかの理論が提唱されている。発泡剤がランダム分布し、その幾つかが結びついて気泡を形成する仮説から誘導される理論では、気泡の大きさはポアソン分布に従うと考えられ、一つの気泡が有限な n {\displaystyle n} 個の発泡剤から作られる確率 P ( n ) {\displaystyle P(n)} は、 P ( n ) = n ¯ n n ! e − n {\displaystyle P(n)={\frac {{\bar {n}}^{n}}{n!}}e^{-n}} ただし、 e {\displaystyle {e}} は、ネイピア数 ( e {\displaystyle {e}} = 2.71828...)、 n ! {\displaystyle {n!}} は、 n {\displaystyle {n}} の階乗、 n ¯ {\displaystyle {\bar {n}}} は、 n {\displaystyle {n}} の算術平均。 と定義される。ここで n {\displaystyle n} はかなり大きな数となるため、上式は標準偏差が n ¯ {\displaystyle {\bar {n}}} の正規分布と近似させ、 P ( n ) = 1 2 π n ¯ e − ( n − n ¯ ) 2 2 n ¯ d n {\displaystyle P(n)={\frac {1}{\sqrt {2\pi {\bar {n}}}}}e^{-{\frac {(n-{\bar {n}})^{2}}{2{\bar {n}}}}dn}} と表すことができる。さらに気泡を半径 r {\displaystyle r} の球と仮定し上式から、 P ( r ) = 6 r 2 r 3 e − 2 π ( r 3 − r ¯ 3 ) 2 3 r ¯ d r {\displaystyle P(r)={\frac {{\sqrt {6}}r^{2}}{\sqrt {r^{3}}}}e^{-{\frac {2\pi (r^{3}-{\bar {r}}^{3})^{2}}{3{\bar {r}}}}dr}} という気泡半径の確率式を導いている。 気泡の形状については観察の結果から、界面化学にて安定しているとされる五角形の面が12枚集まった十二面体であるという説で固まっている。
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