機能範疇投射分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 00:21 UTC 版)
「小節 (言語学)」の記事における「機能範疇投射分析」の解説
3つ目の分析方法として、Xバー理論の主要部の原理に従い、小節はある機能範疇Fを主要部とするFPであると仮定する方法が挙げられる。この機能範疇はさまざさまラベル付けがされており、Bowers (1993, 2001) のPr、Bailyn (1995)のPred、Elide (1999)のAgr、Citko (2008)の π {\displaystyle \pi } などがある。 小節を機能範疇投射と見做す分析は、異範疇同士の等位接続を説明できるという利点がある。一般的事実として、非等位範疇を等位接続することは不可能である。 ( ) a. *[AP Boring] and [NP a fool] entered the restaurant.:579 ( ) b. *Pat remembered [AP happy] and [CP that it was important to be on time].:584 一方で、これに反する経験的データが存在し、述語同士の等位接続では、等位項の統語範疇が異なっても文法的となる場合がある。 ( ) a. Jermaine is [AP boring] and [NP a fool].:579 ( ) b. I consider Fred [AP crazy] and [NP a fool].:307 この事実は、小節は機能範疇 (ここではPredとする) を主要部とする構造を持つと考えることにより、同範疇接続として説明することが可能となる。 ( ) a. Jermainei is [PredP ti [Pred' Pred0 [AP boring]] and [Pred' Pred0 [NP a fool]]]. ( ) b. I consider [PredP Fred [Pred' Pred0 [AP crazy]] and [Pred' Pred0 [NP a fool]]]. また、この分析は I regard Fred as my best friend という文に含まれる as の扱いにも帰結を与える。元来前置詞は形容詞を補部にとることができないが、この as は語彙範疇Pではなく、機能範疇Predの音声具現であると仮定することにより、前置詞の選択特性の問題を払拭することができる。 また、Stowellの述語範疇投射分析で問題となる、中間投射の移動も、最大投射の移動として捉え直すことができる:69。 ( ) a. Whati does John consider [PredP Bill [Pred' Pred0 [AP ti]]]? ( ) b. Howi do you want [PredP your eggs [Pred' Pred0 [AP ti]]]?
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