様式・影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/14 22:00 UTC 版)
「アンニーバレ・カラッチ」の記事における「様式・影響」の解説
アンニーバレを中心とするカラッチ一族の功績としては、イタリア・バロック期絵画における古典主義様式を確立したことがある。16世紀に盛行したマニエリスム絵画は技巧的な構図、自然の比例を無視して引き伸ばされたような人体表現などの反古典主義的様式を特色としていた。16世紀末になると、トリエント公会議や対抗宗教改革などの影響もあって、こうした技巧的な様式は宗教画としての規範に反するものと考えられるようになり、盛期ルネサンス風の明快な構図、写実的な人体把握がよしとされるようになったのである。カラッチ一族の様式は、マニエリスムの画家たちの技巧や奇想に走った様式とも、カラヴァッジョ風の冷徹な写実に徹した様式とも一線を画したもので、「マニエラ」(様式、理想美)と「ナトゥーラ」(自然、写実)との調和が取れた様式と評された。 代表作のファルネーゼ宮殿天井画は、半円筒状の天井に『バッカスとアリアドネの勝利』を中心に多数の画面を配置した複雑な構成になり、描かれた装飾と現実の建築部材との境界があいまいになる錯視効果を上げている。代表作の『バッカスとアリアドネの勝利』は、理想化された堂々たる裸体表現にミケランジェロの影響が感じられ、人物を互いに重ならないようにバランスよく配置する構図法は古典主義的である。古典を学び消化したうえで新時代の絵画を創造しようとする意気込みがここには感じられる。
※この「様式・影響」の解説は、「アンニーバレ・カラッチ」の解説の一部です。
「様式・影響」を含む「アンニーバレ・カラッチ」の記事については、「アンニーバレ・カラッチ」の概要を参照ください。
- 様式・影響のページへのリンク