様々な対策・調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 06:55 UTC 版)
今日のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでは、客の求めに応じて店員がカウンターの向こうから商品を出してくる対面販売方式でなく、商品が裸のまま陳列された棚の間を客が自由に回遊して購入したい商品を選んでいくセルフサービス方式が主流である。セルフサービス方式で広く行われる裸陳列は、商品をいかに万引きや汚損から守るかよりも、「多く見せるほど、多く売れる」の格言に沿っていかに多くの商品を客に見せるかを優先して発達したものである。 対面販売においては店員が売り込みを行うが、セルフサービスにおいては売り込みを行わないので店員の人件費の節約になる。セルフサービス方式の一般化により、商品の包装にはほとんどの場合、自分自身を売り込むようなデザインがされ、同種の他製品と比較検討できるラベルが貼られるようになったので、店員が売り込みを行わなくても客が自分自身で商品を選択できるし、そうさせたほうが客の購買心を誘い出すことができる。また、売り込みを行うと、後になって店員が奨めるから買ったのにと不平を言われることがあるが、売り込みを行わず客自身に商品の選択を行なわせれば、このような不平を言えるものではない。裸陳列には、もともと買うつもりがなかったものも目に入るためにいわゆる衝動買いを引き起こす効果もある。 今日のセルフサービス方式の売り場は人類に残るとされる狩猟採集時代の感覚をますます激しく刺激するようになっている。広い店内、豊富な品物、少ない店員により、ごく一般的な人でさえふと狩猟採集の感覚に戻り、そのまま商品を持って帰ってしまえるような錯覚にとらわれるとされる。子供たちが万引きをするのは、野山で昆虫採集や釣りなどをして狩猟採集を疑似体験することができなくなったため、その代わりに小売店の店頭で狩猟採集の気分を味わいたくなるのだという分析もある。しかし、もちろん、小売店の店頭で狩猟採集をすることは重大な犯罪に当たる。 今日の激しい販売競争を勝ち抜くためには店はより買いやすい売り場作りをしなければならず、そうした売り場は図らずも客の狩猟採集本能を一層激しく刺激する結果になる。店は万引きを誘発しやすい状態でなければ、売れ行きが伸びない。結果的に、店は万引きを作り出して万引きに悩んでいるのである。そこで万引きする気分を起こさせない店舗設計にするというアプローチもある。 セルフサービス方式が万引きを誘引しているとの批判もある。その批判が当たっているかはともかく、上記のようにセルフサービス方式は経費の増加を抑えながら売り上げを増進できる方式である。仮にセルフサービス方式により万引きが増えるとしても、その被害額を補って余りある売り上げ増が見込めれば、万引きのリスクを甘受するだけの価値がある。 店員の手を通じなければ絶対に商品に触れないような販売方式であれば万引きは起こらないが、セルフサービス方式では客をして自由に商品に触れさせている以上、万引きが絶対に避けられないことは明白である。万引きには「誘惑」と「機会」の二つの原因がある。前者は客の内心の現象で、小売店側からではこれを左右できないが、後者には小売店側で対策を講じることができる。万引きの機会を減らすため次のような対策が採られている。
※この「様々な対策・調査」の解説は、「万引き」の解説の一部です。
「様々な対策・調査」を含む「万引き」の記事については、「万引き」の概要を参照ください。
- 様々な対策・調査のページへのリンク