根府川・米神地区の惨状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/03 23:00 UTC 版)
「根府川駅列車転落事故」の記事における「根府川・米神地区の惨状」の解説
根府川駅の南側を流れる白糸川でも、本震の4分半後に起きた余震(マグニチュード7.3)が原因となって大規模な土石流が発生した。土石流の発生地点については、災害発生の3年後にまとめられた『神奈川県下の大震災と警察』という資料が箱根連峰古期外輪山の聖岳(標高837メートル)説を記述したのを始めとしていくつかの説がある。現地の地形や土の粒度分布などの資料を検討すると、発生地点として有力とされるのは、白糸川の上流4キロメートルのところにある箱根連峰外輪山の1つ、大洞山(おおぼらやま)である。このときの土石流は時速にして50キロメートル近くの速さで、わずか5分ほどの間に海まで到達している。 厚さ3メートル以上にも及ぶ土石流は白糸川の谷を流れ下り、根府川地区の民家を呑み込んで200人以上の人命が失われ、そのほとんどは白糸川河口付近に住んでいた人々であった。震源に近い根府川地区では、本震の約5分後に津波が押し寄せたため、人々は土石流と津波に挟み撃ちされたような状態だった。たまたま海岸で遊泳中だった根府川地区の子供たちも遭難し、少なくとも20名が死亡または行方不明となった。 土石流は白糸川にかかっていた鉄橋(橋脚の高さは基礎を含めて22メートルあった)をも襲い、コンクリート製の橋台や隣り合わせになっていた橋脚まで押し流し、橋台や橋脚は行方が分からなくなってしまった。当時の白糸川河口は入り江になっていたため、船の停泊地として使用されていた。しかし、土石流が運んだ土砂などが入り江を埋め尽くして陸地と化したため、その後松林となっている。なお、根府川地区に近い米神地区でも大規模な土石流が発生し、50人以上の死者・行方不明者を記録した他、熱海線の石橋鉄橋が落ちるなどの被害が出た。
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