核スピン異性体とは? わかりやすく解説

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核スピン異性体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/08 08:54 UTC 版)

核スピン異性体(かくスピンいせいたい、: Nuclear spin isomer)は、核スピンが0でない原子核分子内において等価な位置に2つ以上有る時に発生する核スピン修飾 (nuclear spin modification)の違いによる異性体。例えば、水素分子のように等価な原子が2つのものの場合、核スピンが置換に対して「対称」なものをオルトと呼び、「反対称」なものをパラと呼ぶ。これらの異性体間の変換は核スピンの変換を伴うために、気相のような自由空間では非常に遅いとされる。よって、このような場合、お互い別々の分子として扱われることがある。




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核スピン異性体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/19 01:03 UTC 版)

プロトン化水素分子」の記事における「核スピン異性体」の解説

H3+ の構造正三角形なので、3つの水素原子等価位置にある。水素原子スピン1⁄2を持ち3つ等価位置にあるために、H3+ は核スピン異性体を持つ。3つの水素原子スピン対称性により、総スピン数が1⁄2と3⁄2という違う値となり、これによりオルト H3+ (3⁄2) とパラ H3+ (1⁄2) という2種類の核スピン異性体が存在する1997年ウイ (D. Uy) らが行なった水素放電実験において、放電ガスとして、普通の水素ガスオルト水素:パラ水素 = 75%:25%)を放電したときと、パラ水素濃縮した水素ガスパラ水素99%以上)を放電したときで、放電によって生成さする H3+ のオルトパラの比が違う(パラ水素ガス使った場合パラ H3+ が多く生成する)ことが発見された。これは、H3+ が生成するときの反応 ortho-H2+ + ortho-H2 → ortho/para-H3+ + H ortho-H2+ + para-H2 → ortho/para-H3+ + H para-H2+ + ortho-H2 → ortho/para-H3+ + H para-H2+ + para-H2 → ortho/para-H3+ + H において、生成物である H3+ のオルトパラ生成比が違うことを意味する。また実験結果から、それらの分岐比は、スピン対称性保存するようになっていることが示された。 さらに、このオルトパラの比の放電開始直後時間変化追った場合生成後もオルトパラの間で変換起こっていることが発見された。このことは、 ortho/para-H3+ + ortho/para-H2 → ortho/para-H2 + ortho/para-H3+ という、反応前後分子の数としては変化のない反応でも、プロトンやりとりすることにより、オルトパラ変化する反応起こっていることを示している。 このようにスピン対称性化学反応前後保存されるとする理論化学反応における核スピン保存則)は、クアック (M. Quack) により1977年提案されたが、この H3+ の実験により、はじめて実験的に検証されたことになる。

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核スピン異性体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 20:17 UTC 版)

オルト」の記事における「核スピン異性体」の解説

スピンが0でない原子核分子内において等価位置二つ以上有る時、その分子は核スピン修飾 (nuclear spin modification) による核スピン異性体を持つ。その中でもっとも合成スピン量子数大きい物をオルトという。 例)オルト水素 ortho-H2 (I = 1)、 ortho -CFH3 (I = 3/2)

※この「核スピン異性体」の解説は、「オルト」の解説の一部です。
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