板寄せ法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 09:56 UTC 版)
立会場 立会場の一端に高台があり、この高台には取引所職員が上がる。高台に対時する位置に場電(立会場と各会員とを結ぶ専用電話)がある。折衷法に比し、高台と場電との間は狭いのが普通である。 市場代表者 各会員から立会場に派遣され、その社のすべての売買を行う役目をもつ。1人で場電を通して会社からの注文を聞きながら売買を行う場合と、市場代表者補助員が場電をとりその指図によって売買を行う場合とがある。 市場代表者の売買の方法は、高台が指示した仮の約定値段により、売りまたは買いの枚数を指で表示して高台に申し出る。セリにより仮の約定値段が上下し、自己のもつ指値の注文に合致しない呼値となったときには、その枚数について反対の表示を行い(売っていれば買い、買っていれば売る)、前に申し出た枚数と、相殺して売買から離脱する。 端上げ(はなあげ)(端取り)(売りと買いの枚数の差を自社の注文により全て埋ますという申出)は、市場代表者の「売った」、「買った」または「ヨシヤ」の発声とそれに伴う手の動作により撃析(げきたく)係の柝(き)が入る。 以下は取引所職員 撃析(げきたく)係 まず立合開始の柝(き)を入れて仮の約定値段を示し、その値段での売買枚数を各市場代表者から申し出させる。 端(はな、売りと買いの枚数の差)を表示するとともに、値段を上下させる。売りと買いと対比して、売り枚数が多いとき(買いハナ)は「何枚買える」または「何枚買」といって値を下げ、逆に買い枚数が多いとき(売りハナ)は「何枚売れる」または「何枚売」といって値を上げる。 売り枚数と買い枚数が同じ枚数になった場合には、「無出入(むでいり)」と唱え、その値段をもって本約定値段の成立を宣言する。 「売りハナ」または「買いハナ」の場合、市場代表者の「みんな売った」または「みんな買った」の申出により、その値段をもって本約定値段の成立を宣言する。撃析係というのは、仮約定値段の提示者であり、売りと買いの枚数が一致するまで新しい値段を提示する役目を果たすわけである。 見張り係(ラッパ)、読上げ 撃析係の提示した値段により、市場代表者の申し出た売りまたは買いの枚数を社名とともに左から右に順に読み上げる。 見張り係が社名または枚数を読み違える場合もあるので、その読み違えを監視し訂正するため副見張り係を置くこともある。 正場帳係 見張り係の読み上げた各社の売り買いの枚数を読み上げられた順に正場帳に記帳する。これにより、あとからでもその社の申し出た売買枚数を順を追って確認することができる。ただし、取引所によってはこの係を置かないこともある。 副場帳係 見張り係の読み上げた各社の売買枚数を、その社の売り買いの枚数の差し引きがわかりやすいように、各社別に記帳する。この副場帳により、立会終了後、各社の申し出る売買差引枚数との照合が容易になる。 暗算係(ソロバン) 撃析係のそばにいて、見張り係の読み上げた売り枚数と買い枚数との差引計算し、端を撃析係に知らせる。 以上のような取引所職員と市場代表者が立会に参加するわけであるが、板寄せ法による競争売買は、市場代表者(会員)が高台(取引所)に売りまたは買いの枚数を表示することに特徴がある。板寄せ法は、折衷法に比して市場操作が行われやすいといわれており、立会そのものに活気が乏しいという短所もある。しかし、市場代表者に熟練度を要求されないこと、人員も少なくて済むこと、また立合終了後の整理が容易であることなどの長所がある。
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