松枯れの問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 22:41 UTC 版)
「羽衣の松」を含む多くの松林が徐々に枯死する松枯れも進行している。静岡市などが対策に乗り出しており、松食い虫防除のための予防剤注入やシロアリの防除を行うほか、市有林については、松の防除履歴などの個体管理台帳を作成する予定である。 2015年からの調査で、松の付近の地中に砂が固くなった固結層があり、それが根に空気や水を通さないことが松が弱る原因の一つと見られていた。 2016年からの調査では、固結層に起因する降雨時の表面流出が深刻なことがわかった(参考:最近の雨での流出後の画像 … 2018年3月9日の20ミリの雨量を超えたあとで流出した際の映像)。 そして、羽衣の松周辺の地中にある砂などが固まった固結層の生成原因の一つが、周辺で営業する売店が店舗の回りに廃棄しているコンロの煉炭灰であることがわかった(固結層中にカルシウム、炭素、硫黄、煉炭を作る際につかう粘土の一種「ベントナイト」が観察されたことによる)。ベントナイト、多量の雨水、観光客による踏み固め、風による砂の供給などが固結層の生成と広がった理由と考えられている。 煉炭の灰については、50年ほど前から売店がそれぞれ1日一個分くらいの灰をだしていたと報道されている。 これまでの理由が不明なまま「松の木を守る」という対症療法的な対策から、今回同定された原因を除去する対策の検討が重要である。対策として以下が土木学会誌レポートに提案されている。 既存の固結層を除去する。 廃棄された煉炭灰を撤去する。 売店の屋根からの雨水を遠方に排水する。 固結層を破壊した部分の養生のために周遊ルートを変更する。 根への空気、水の供給を確保するために固結層を崩すことは、同時に、降雨時に固結層の上の砂が流れてしまうことも防ぐということで重要である。 固結層の問題が認識されて以来、ボランティアによる固結層の除去作業が折に触れて行われている。
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