松本のミキノクチ製作習俗 (長野県)
松本のミキノクチ製作習俗
名称: | 松本のミキノクチ製作習俗 |
ふりがな: | まつもとのみきのくちせいさくしゅうぞく |
種別1: | 風俗習慣 |
保護団体名: | |
選択年月日: | 1998.12.01(平成10.12.01) |
都道府県(列記): | 長野県 |
市区町村(列記): | 長野県松本市 |
代表都道府県: | 長野県 |
備考: | 所在地が同一都道府県内のもの(このデータが種別1から移行しています) |
解説文: | ミキノクチ(神酒の口)は、神棚に供える御神酒徳利に挿して飾る縁起物で、松本市周辺で広く用いられてきた。ミキノクチは十二月三十日に飾り、お年取り(大晦日)の夜にミキノクチを挿していた御神酒徳利で酒を酌み交わす。ミキノクチは、そのまま一年間飾っておき、一年ごとに買いなおすものである。 ミキノクチは、十一月上旬に素材となる真竹を伐り、年末までに作製し、市内縄手通りの歳の市で売り出される。竹の外皮と内側の肉質部を削り落とし、幅一-二センチメートル、長さ四〇-五〇センチメートルの薄さに整形し、根元を七-一五センチメートルほど残して、ひご状に細かく裂く。これを組み合わせて文様を作り、網針を用いて丈夫な木綿糸で縛り、金襴という布の小片を貼りつける。ミキノクチは一対で作られ、五葉松・松竹梅・一つ玉・三つ玉・福松・宝船などの種類がある。 ミキノクチ製作は、近世末に始まり、当初は軽輩の武士の内職であったと伝えられる。かつては松本市内に三、四人ほど製作する人がいたが、緻密な細工物なので後継者がなかなか育たず、現在は一軒の家で製作しているだけとなっている。 松本のミキノクチは、民間信仰をもとに伝統的な年中行事に用いられてきた用具であるが、その製作習俗は早急に記録を作成することが必要な状況にある。なお、昭和三十四年に指定された重要有形民俗文化財「民間信仰資料コレクション」(松本市所有。財団法人日本民俗資料館保管)にミキノクチが含まれており、製作や頒布方法など、その特質を理解するためにも、記録作成等の措置が必要である。 |
- 松本のミキノクチ製作習俗のページへのリンク