村総出のシシマキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/20 14:22 UTC 版)
雷と同様に山熊田でも狩猟が盛んでシシマキ(巻き狩り)によって熊とりが行われていた。また、雷で行われていたのは「日帰り山」のみだが、山熊田では「日帰り山」で獲れなければ、雪上に見える柴枝を切りそれを敷き野宿する「泊まり山」が行われていた。山熊田では、4月17日頃の土用入りの日に集落の男衆が総出で熊とりに出て、熊祭り(シシマツリ)と称し山神を祀る行事が催される。山熊田では鎮守社(浅間神社)の春祭りは行われず、熊祭りを春祭りとしている。その為、熊がとれないと春祭りが行えないため、それは縁起が悪いとして熊を追い求め捕まえるまで狩りを続け、時には朝日連峰(山形・新潟両県の県境に連なる峰)まで行くこともある。このように、村総出で熊とりと熊祭りを行うところは少ない。山熊田は出稼ぎに行く者が多いが、熊とりと前述したぜんまい採りの時期までには、全ての出稼者が帰ってくる。ぜんまい採りも村人にとっては重要な収入源のため、ぜんまい採りの際に山に熊がいると危険なため熊とりをする側面もある。 昭和末期ごろは村の猟友会が日程を決めて村中に知らせていて、慣例となっている土用入りの日の1、2日前を初日としていた。昔は土用入りの日に行われていた。尚、悪天候や集落内で不幸があった場合は延期となる。参加するのは、村中の小学1年生以上の男子で年齢の上限なしの希望者。学生の参加に関しては、学校であらかじめ教育委員会の許可を得て、特別休暇扱いだった。小学生の場合は林道終点あたりまで行くだけで狩場へは行かず、中学生は現場まで足を運び、人数不足の場合は勢子に加勢することもあった。そして、熊が狩れるまで日帰りで続けられる。大体、3回総出しても熊が獲れない場合は鉄砲撃ち(猟師)有志の団体で「泊まり山」が行われるようになる。獲物の分配は、獲れた日の参加者全員に平等に分配され、狩場に行けない小学生も当日参加していれば分配される。
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