材料・薬効
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 07:29 UTC 版)
原料は粕粉(除虫菊の地上部分を半年間乾燥させたもの)、タブ粉、でんぷん、ピレスロイド(除虫菊に含まれる有効成分)、染料など。粉末状、棒状、渦巻状などに成形される。色は緑色がほとんど。7時間ほど燃焼するものが多いが、燃焼時間3時間程度の小巻の物や、12時間程度燃焼するものもある。 使用するには先端に着火し、最初に出る炎を吹き消して燠(おき)の状態にする。このようにすると不完全燃焼によって煙が立ちのぼるようになる。この煙そのものに蚊を殺す効果があると思われがちだが、実際には燃焼部分の手前で高温により揮発する化学物質(ピレスロイド)に殺虫作用がある(煙と異なり目には見えず、周囲に拡散して殺虫効果を生じさせている)。 今日では、全化学合成したピレスロイド系殺虫剤が使われている。除虫菊の代わりにレモングラスの成分などを使用した製品もあるが、そちらには忌避効果はあるものの殺虫効果はない。蚊取り線香メーカーによっては煙の少ないもの(逆に野外作業用で、羽虫が嫌う煙の多いものもある)、花の香料(ビャクダンやバラ他)や果物の香料を練りこませたものも発売している。人間以外にペット用や、畜舎で使用する畜産用の大型などもある。 日本での主な生産地は、和歌山県有田市である。有田市では地元の除虫菊を使った蚊取り線香を製造していた企業が1社あったが、2014年10月に製造を停止した。 開発国の日本を始めとして、世界でも生産・輸出されている。アメリカ合衆国ではモスキートコイル (Mosquito Coil) として売られている(但し、その利用に関して言えば有名ではない)。家庭の電化が遅れ、停電が頻発している国家や地域でも火種さえあれば使用でき、最後まで安定した効果が持続するので、蚊をはじめとする羽虫の防除で東南アジアを中心に普及し、蚊帳と共に、カ媒介の感染症であるマラリア・デング熱予防を期待して利用されている。一方で、科学的にはマラリア・デング熱の予防に有効とのエビデンスは得られていない。
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