朝顔仙平と頭への下駄乗せ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 23:17 UTC 版)
ピエロのような隈取りをした道化役朝顔仙平の登場。「朝顔せんべい」という商品名の煎餅の広告も兼ねた役名である。門兵衛が「このように、血がだらだらと・・・あ、こりゃうどんだ」。仙平は「ええ、おかっせえ」とたしなめ、助六に他の商品名の煎餅も言い立てて啖呵を切る、そこに門兵衛も加勢、二人が「そもそもうぬは何奴だエエ」と詰め寄る。 助六は有名な言いたてして二人をやり込める。歌舞伎俳優の雄弁術がもっとも効果をあげる胸のすくような場面である。 「いかさまナァ、この五丁町へ脛を踏ん込む野郎めらは、おれが名を聞いておけ。まず第一、瘧が落ちる(熱病が治る)。まだいい事がある。(吉原の)大門をずっと潜るとき、おれが名を掌へ三遍書いて舐めろ、一生、女郎に振られるということがねえ。見かけはけちな(小さな)野郎だが、胆が大きい。遠くは八王子の炭焼 田圃の歯っかけじじい、近くは山谷の古遣手、梅干婆に至るまで、茶呑み話の喧嘩沙汰。男伊達の無尽のかけ捨て、ついに引けを取ったことのねえ男だ。江戸紫の鉢巻に、髪は生締め。ソーレ、はけ先の間からのぞいてみろ、安房上総が浮絵のように見えるわ。相手がふえれば「竜に水」、金竜山の客殿から目黒不動の尊像まで御存じの、大江戸八百八町に隠れのねえ、杏葉牡丹の紋付も、桜に匂う仲ノ町、花川戸の助六とも、また揚巻の助六ともいう若え者、間近く寄って面相拝み奉れ!」 そして助六は意休に詰め寄る。刀を抜けと迫る。なんと、自分の下駄を脱いで意休の頭の上に乗せた! 「汝是畜生発菩提心往生安楽… どんがんちん ヤァーヤァー 乞食の閻魔様め!」 それでも意休は動ぜず、刀を抜かない。
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